GCUデビューと初めてだらけの育児

こんにちは。

これは以下一連の出来事の16記事目です。

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生後2ヶ月頃(在胎34週頃)

やっとGCUデビュー

保育器の屋根が取れ、服を着るようになった娘はとうとうNICUを卒業してGCUへ移動することになりました。

部屋は同じで場所が少し変わるだけですが、NICUとGCUには違いを感じました。


GCUはGrowing Care Unitの名前の通り、治療ではなく退院へ向けた保育を目的にしています。そのためモニターを付けてはいますが、いままでのように先生は近くにいませんし、看護師さんとの距離感も物理的に少し離れています。

また(あくまで私の主観ですが)看護師さんの雰囲気も違います。

NICUの看護師さんはいつも笑顔で赤ちゃんたちを我が子のように可愛がっている、とても温かい雰囲気があります。私たちが不安に思うことも丁寧に聞いてくれて、わからないことがあれば先生にも伝えてくれていました。

一方でGCUの看護師さんたちは「自分たち(両親)でできることは自分たちでやってください」というような少し距離をおいたドライな空気を感じました。もちろん赤ちゃんを目の前にすれば笑顔を見せますし、聞いたことには答えてくれます。ですが、基本的に両親のことは放置で自主性を求めているような感じです。

それが悪いと言っているわけではありません。むしろGCUは退院を見据えた継続的な保育を目的としているため、両親が自分たちで子育てできるようになるためにはそのような対応が必要だろうと思います。


なのですが、GCUに移った当初は私たちはその雰囲気に若干ビビっていました。声をかけようにも近くに看護師さんがいないため、最初はオロオロすることが多かったです。

でも結局は慣れの問題で、日が経つに連れてだんだんと慣れていきましたし「自分たちでやらないといけないんだな」と自覚も持ちました。

初めての沐浴

GCUに移って間もなく、初めての沐浴をすることになりました。これも看護師さん指導のもと妻が先に体験済みで、私は妻に指示されながら沐浴にチャレンジしました。

まだ酸素を送るカニューレが付いたままですが沐浴の際は外します。服を脱がせ、オムツを脱がせたらいざ浴槽へ。

お湯が入らないように両耳を塞ぎつつ頭を支えます。ところが病院の沐浴層はとても立派で大きい。対して娘はまだ体重たったの1,500g。沐浴層にフワフワと浮かび、頭の支えが外れれば沈んでしまいます。

とにかく娘を浴槽に落とさないように必死でした。

1回目はビクビクしながらやっていましたが、2回目から徐々に慣れていきさらに娘の体重が増えるに連れて沐浴は安定していきました。

ついに哺乳瓶でミルクを飲む

娘が産まれてから2ヶ月間、栄養の摂取は口から飲むことはできないので、口からチューブを入れて母乳を直接胃に送っていました。

しかしここに来て、ついに哺乳瓶から飲むようになりました。と言っても必要な分全てはまだ飲めず、そのためチューブは鼻から通すようになりました。鼻と口はつながっているので当たり前なんですが鼻からミルクを入れるという光景は「その発想は無かった!」と少し驚きました。


この頃の哺乳瓶からあげる量は15mlほどです。ですが、初めて哺乳瓶で飲む未熟児の多くが上手に飲めません。飲み方を知らないからです。

その結果、呼吸を忘れて必死に飲んでしまうことがあります。そのため鼻のあたりからだんだん紫色になっていくチアノーゼに注意しなければなりません。


これがとても怖かった。

哺乳瓶であげていても呼吸できているのかが良く分からず、どこまで行くとチアノーゼなのかも分かりませんでした。ミルクを飲んでいる間は身につけている酸素のモニター値が低下して音が鳴り出すため、娘の顔色とモニターとを交互に見ながら必死にミルクをあげていました。

さらにその後のゲップも大変で、とにかく体が小さく膝の上に座らせるのが難しい。油断すると首がグエッとなってしまいます。

大変でしたが、体重わずか1,500gで新生児用の短肌着がブカブカの娘が膝の上にチョコンと座る姿は、とてもかわいらしく感じました。


NICU、GCU通して一番大変だったお世話が哺乳瓶でのミルクあげでした。この「顔色を見ながら」というのがなかなか分からず、かつ「退院したらモニターも無いのにどうしよう……」と最後まで悩んでいました。

直母はできるようになりませんでした

哺乳瓶でミルクをあげ始めて間もなく、直母の練習も始まりました。

ですが大抵の場合、未熟児は最初はおっぱいから飲んでくれません。ほとんどの時間(両親がいない時間)は哺乳瓶で飲んでおり、哺乳瓶で飲む方がずっと簡単(少しの力でミルクが出てくる)なため、そちらに慣れてしまうからだそうです。

面会に行くたびに30分ほど娘におっぱいを吸わせてみますが、吸う前後で体重の変化はありません。つまり咥えはするけど飲んではいないということです。


結局直母は、退院して2ヶ月経った今でもできるようにはなりませんでした。この辺は個人差があるので「未熟児だから」というのは関係ないと思いますが、直母ができないということは搾乳を続けなければならないということです。

妻には負担がかかってしまう反面、哺乳瓶であげるとどれくらいの量を飲んだかが分かるので体重管理には役立っています。

酸素は外れるのか……?

GCUに移動してすぐの頃、カニューレも外して完全な脱酸素チャレンジがありました。これが成功すれば懸念である在宅酸素=自宅での医療的ケアが不要になります。

しかし結果は失敗。娘は夕方頃に力尽きて、再びカニューレが付けられました。


その時点での供給酸素量は最低レベルだったようですが看護師さんいわく、

「最低量でも酸素があるのと無いのでは天と地ほどの差がある」

らしく、事実この後は2週間以上に渡って酸素は付いたままになりました。


人工呼吸器も鼻マスクも一発で取れたので、カニューレも取れちゃうのかな?と期待していたのですが、そうそう上手くはいきませんでした。

生後2ヶ月半頃(在胎36~37週頃)

祝!脱酸素!

そんなこんなで沐浴とミルクあげ、そして(成果は上がらなかった)直母練習の日々は過ぎていきました。

GCUに来て2週間が経ち娘の体重も2,000gを突破した頃、ついにカニューレ=酸素も外れることになりました。以前チャレンジした際には夕方に力尽きましたが、今回は乗り越えられました。

合わせて心電図も外れ、残すは鼻から入っているミルクのチューブと足につけた酸素モニターのみとなりました。

これで在宅酸素も無くなり、大きな心配が一つ減りました。ここに来てようやく、本当に前向きに娘のことを考えられるようになった気がします。


ただしカニューレを外したことで、明らかに酸素モニターのアラームが鳴りやすくなり、哺乳瓶でミルクをあげる際のドキドキは増す一方でした。

残るはMRIと未熟児網膜症

酸素が外れた娘。

私たち両親のとりあえずの心配事は、MRI検査の結果と未熟児網膜症の発症具合です。


娘は生後100時間を超えてからも脳出血を起こさずここまで来ましたが、以前に先生から言われたとおり「正確にはMRI検査をするまで分からない」というのが現状です。

まだ退院の日程は決まっておらず、MRI検査もいつ実施するのか分かっていませんでした。

インターネットでさまざまな情報を見て、退院前のMRI検査で身体障害を引き起こす脳室周囲白質軟化症PVLが発見されるケースもあるのだと、恐ろしさを感じていました。


また未熟児網膜症については在胎28週未満での早産児は90%以上が発症とあり避けられないとは思っていましたが、そのうち90%は自然治癒するという話もあり、とにかく急激に症状が現れないことを願っていました。



もちろんこれらの症状があっても乗り越えて幸せに暮らす家族はたくさんいますし、これらの症状が出なかったとしても小さく産まれた子に関する悩みは尽きません。入院中は分からなくてもこの先でなにか見つかる可能性もあります。

ですが、ここまで(動脈管開存症の手術以外)大きなトラブル無く頑張ってきた娘。

「とにかく何事もなく退院してほしい。」

と、そう願わずにはいられませんでした。