Netflixのマーベルドラマ『ディフェンダーズ』を見る順番とダークな魅力を紹介します

"Netflixディフェンダーズ"
GIZMODOより

こんにちは。

Netflixでマーベルドラマディフェンダーズ』シリーズが配信されています。

ディフェンダーズはデアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『ルーク・ケイジ』『アイアン・フィストの4人のヒーローがクロスオーバーする、Netflixオリジナルのマーベルドラマシリーズです。


各作品の間には時系列が存在し、かつ映画シリーズよりも作品ごとの結びつきが強いため、順番に見ていかないと話がチンプンカンプンになりかねません。

そこで今回はディフェンダーズ』シリーズを見る順番(時系列)と、映画とは異なるダークで大人なドラマの魅力をご紹介します。

ディフェンダーズ』とは

ニューヨークを舞台にしたダークヒーローたちの戦い

ディフェンダーズ』アメリカのニューヨークを舞台にデアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『ルーク・ケイジ』『アイアン・フィストの4人のヒーロー(*1)の戦いを描くドラマシリーズです。


ディフェンダーズ』シリーズ最大の特徴はダークな世界観にあります。

映画シリーズはファンタジックでカッコイイヒーローの活躍を描きますが、ディフェンダーズで描かれるのは人知れず悪に立ち向かい、自分の力や立場に苦悩するヒーローたちの姿です。

彼らは超人的な力をもつものの、アイアンマンやキャプテン・アメリカのようにみんなに存在を知られているわけではありません。また戦う相手も地球まるごと滅ぼすような異星人などではなく、ニューヨークを裏で牛耳る組織や街のギャングなど、陰でコソコソする組織がメインです。

だから彼らは、

「目立たず静かに暮らしたい。しかし力を持つ者として悪に立ち向かうべきなのか……」

と悩みます。

決して完璧ではない、カッコイイわけでもない、何なら性格上の問題も多い。映画よりもずっと人間臭さがあふれる身近なヒーローのリアルな苦悩と、それでも悪に立ち向かう正義の姿に心を揺さぶられます。

映画では見られない激しいシーンが盛りだくさん

そんな感じで全体的に雰囲気がシリアスで暗いため、映画ではできないようなグロテスクでバイオレンスでエロティックなシーンが多いです。

具体的には……

  • 頭を銃で撃ち抜く
  • 首が吹き飛ぶ
  • 爪の間に針をぶっ刺す
  • 腕をミキサーにかける
  • 激しいベッドシーン(正◯位、騎◯位、後◯位なんでもござれ!)

などなど「子供はお断り!」の内容が多いです。間違っても家族みんなで楽しまないでください。

MCUと同じ世界の物語

ディフェンダーズシリーズは『アベンジャーズ』でお馴染みのMCUマーベル・シネマティック・ユニバースと同じ世界を舞台にしています。

映画のヒーローが出てくるわけではありませんが、

など、同一世界にあることを示すセリフが多々出てきます。


明確な説明はありませんがドラマのセリフから察すると、ディフェンダーズは映画『アベンジャーズ』でニューヨークがめちゃくちゃに破壊された後の話であることがわかります。

ただしドラマシリーズの中では大きく時間は進んでいないようです。ディフェンダーズはアベンジャーズ』から『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の間の出来事と考えられます。

アベンジャーズは見ていなくても大丈夫

MCUと同一世界観ではあるものの、アベンジャーズを始めとした映画シリーズを見る必要はありません。キーワードは出てきますが、分かっていなくてもドラマを楽しむ上では全く問題ありません。

ディフェンダーズを見る順番

ここからは『ディフェンダーズ』シリーズを見るべき順番と、各作品の魅力(と個人的な不満)を簡単にご紹介していきます。

なお()の中はNetflixで配信された年です。

デアデビル シーズン1(2015年)

ニューヨークのヘルズキッチンで密かに悪事を働く者たち。人知れず彼らに正義を執行するクライムファイターがいた。

その正体は盲目の弁護士マット・マードック

彼は友人のフォギーと共に弁護士事務所を立ち上げ、さっそく殺人事件の容疑者の弁護を担当することに。そこから大きな犯罪の渦に巻き込まれていくのだった……

ディフェンダーズの中心とも言えるデアデビルの1作目。

盲目であるゆえの超感覚(聴覚、味覚、嗅覚などが超人的)を活かした戦闘スタイルや偵察は、これまでのヒーローには無かったものであり斬新です。

特別に体が頑丈とか力が強いわけではありませんが、超感覚と自己流の武闘術で人知れず悪者を叩きのめす活躍ぶりはまさにダークヒーロー。


さらにヴィランであるフィスク「金と暴力で街を牛耳りたい、ヤベー奴」っぷりが魅力的。

個人的にはマットの同僚で友人のフォギーがとても好きです。MCU全体で見てもここまで人間的な魅力を持つキャラはいないのでは?と思うほどいいキャラしてます。

ジェシカ・ジョーンズ シーズン1(2015年)

数年前のある事件をきっかけに身を隠していたジェシカ・ジョーンズは、ヘルズキッチンで”エイリアス探偵事務所”を開く。

早速「娘を探して欲しい」という依頼を受けたジェシカだが、それは悪夢の再来だった。

ディフェンダーズの紅一点、ジェシカ・ジョーンズ。彼女の能力はとてもシンプルで「力がめっちゃ強い」素手で車を止めたりぶん投げたりできます。

その美しい見た目と馬鹿力のギャップ良い。さらにこれまた見た目の美しさとは反対に、昼から酒を飲み口も悪い、軽犯罪も何のその、というヒーローとは思えないダメ人間っぷりも魅力的。


ジェシカもさることながら何と言ってもヴィランキルグレイブ変態鬼畜っぷりが最高です。

「こいつは今すぐぶっ◯したほうがいい!!!」

と誰もが思うでしょう。能力も面白く、MCU全体でも見ても魅力的なヴィランです。


ただしストーリーとしては主人公サイドが全体的にアホすぎるし、キルグレイブの生い立ちや思想の深掘りがイマイチで、

「何かいろいろ雑!!」

と叫びたくなる雑さ。もう登場人物全員、何考えてるのかよくわからず感情移入できない。「主人公ジェシカはダメ人間」と言いましたが、主要な登場人物の中では一番まともでした。


そんな雑さではあるものの、ジェシカ(というかそれを演じるクリステン・リッター)の美しさとキルグレイブの異常っぷりだけでも十分に楽しめる作品です。

さらにデアデビルではクロスオーバー要素がほとんどありませんでしたが、本作ではルーク・ケイジが登場してディフェンダーズとしてのクロスオーバー感が楽しめます。

デアデビル シーズン2(2016年)

その存在が広く知られヘルズキッチンの悪魔”と恐れられるようになったデアデビル(マット・マードック)。

「殺さず裁く」を信条に掲げる彼の前に、「悪者は死んで当然」と殺人を繰り返す通称"パニッシャーが現れる。

さらにデアデビルに襲いかかる謎の組織”ヤミノテ”とは……!?

早くもデアデビルの2作目。

全く超人要素が無いのにめちゃくちゃ強く頭のネジが外れたパニッシャーが最高にクレイジーです。パニッシャーディフェンダーズではありませんが、このシリーズで単独作品が配信されています。

さらにこの後に登場する『アイアン・フィスト』、そして『ディフェンダーズ』へ通じる悪の組織やキーマンが登場し、クロスオーバーへの期待が膨らみます。


しかし個人的にシーズン2はデアデビル(マット・マードック)に終始イライラしていました。

彼の友人であるフォギーやカレンは、それはもうとんでもなく良い奴ら。MCU屈指のいい人。

な の に。

主人公のマットは本当に勝手!!

「もう過去のことだから」

とか言っておきながら過去の女にめちゃくちゃ後ろ髪引かれて、フォギーにもカレンにも大迷惑かけるとか信じられない!!!!


分かってる。困っている人は見過ごせない、悪事を放置できない。そこれこそがデアデビル

でもな、君はデアデビルであると同時にマット・マードックやねんで!?天涯孤独になったはずの君にフォギー、カレンが寄り添い友達以上の関係になったんやで!?なのに、なのに……うぉぉぉぉぉぉっぉぉぉっぉぉおぉぉ!!!!!!!!!!!!!!


……

と、関西弁が出てしまうほどモヤモヤします。

ルーク・ケイジ シーズン1(2016年)

”最強の皮膚”を持つ男ルーク・ケイジ。彼の肉体は銃弾を跳ね返し車に轢かれてもびくともしない。おまけに壁でもなんでもを拳でぶち破る。

ジェシカ・ジョーンズと別れた彼は、ハーレムで若者の面倒を見るポップの理容室で働いていた。しかしその若者の一人がハーレムの小悪党コットンマウスの危ない金に手を出してしまうのだった……

ジェシカ・ジョーンズ』で一足先に登場していたルーク・ケイジの本編です。

彼は『ディフェンダーズ』シリーズで一番”超人っぽい”能力を持っているので、戦闘シーンも見応えがあります。また、最強の皮膚を手に入れた経緯も明らかになります。

作品全体として黒人文化を強く意識しており、登場人物たちは黒人としての悩み、プライドを抱えています。また劇中音楽には黒人の歌うラップが多用され、それらを含めてダーティな雰囲気がカッコイイ作品です。


このドラマを見ていると「自分が勝つことは簡単だが、みんなを守ることは難しい」というヒーローの苦難が伝わってきます。

ヒーロとは何か?ルーク・ケイジ』はその原点に立ち戻った作品だと言えます。

アイアン・フィスト シーズン1(2017年)

ヒマラヤ山脈に飛行機が墜落し、一家3人が死亡した。

しかし15年後、死んだはずのダニー・ランドがニューヨークに生きて帰ってきた。彼はアイアン・フィストと名乗り、「”ヤミノテ”を倒す者だ」と明かすのだった……

ディフェンダーズ』最後のメンバーであるアイアン・フィストの登場です。

全編に渡って日本武術が取り入れられているのがまず嬉しい。

さらに『デアデビル シーズン2』で登場した悪の組織”ヤミノテ”が、アイアン・フィストの敵であることがわかりディフェンダーズへのクロスオーバーの期待が高まります。


15年間修行をしたというダニー(アイアン・フィスト)の武闘術はこれまで出てきた3人よりも圧倒的にきれいで洗練された戦闘スタイル。激しく美しいアクションが楽しめます。

またまさしく”最強の拳”であるアイアン・フィストの鉄拳は、少年漫画のごときカッコよさ。手が光り一撃を繰り出す瞬間は、ワクワク感が最高潮に達します。

しかし、当初は一撃必殺だと思っていたのですが、なんだかんだで”めっちゃ強いパンチ”レベルで、がっかりしてしまったのが本音です。

ディフェンダーズ(2017年)

ある時ニューヨークで巨大な地震が発生した。

そんな中、とある事件に巻き込まれたジェシカ・ジョーンズの弁護を担当することになったマット・マードックデアデビル)。

時を同じくして、”ヤミノテ”を追ってきたダニー・ランド(アイアン・フィスト)と、ハーレムの少年を追ってきたルーク・ケイジが鉢合わせする。

人知れずニューヨークを守るディフェンダーが誕生しようとしていた……

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いよいよ4人のヒーローがディフェンダーズ』として集結します。

これまで長い時間をかけて物語を紡いできたヒーローたち。長い時間をかけたからこそ、4人が集う過程は最高にワクワクします。

また主役4人だけではなく各シリーズでのサブキャラたちがクロスオーバーするのも見ていて楽しい。

共通の敵”ヤミノテ”との戦いはもちろんのこと、人間性に問題がある個性が強いヒーロー同士の激突も見応え抜群です。


と、クロスオーバーの良さは存分に出ているもののストーリー全体としては正直イマイチです。

何と言っても、”ヤミノテ”はアイアン・フィストの宿敵であるはずなのに、

「まあその話はね、とりあえず簡単にまとめて。あとはマットとエレクトラ(ブラックスカイ)に焦点を当てたラブロマンスということでね」

……って、いいんすかそれ!?結局デアデビルが主役ってことなんですか!?

まとめ役は必要かもしれないけど、4人チームだよ?アベンジャーズみたいに20人もいるわけじゃないんだから、全員主役においてそれぞれに見せ場を用意すればよかったんじゃないの?

というぐらいなんだかとっ散らかっています。あまり印象に残るシーンもありません。

これはおそらく、ディフェンダーズの戦いに全振りして良かったはずなのに、日本刀ガールやクレアまで戦いに巻き込んでしまったこと、そして言い方は悪いですがデアデビル シーズン2からポット出てきたエレクトラをスーパーヴィランに置いてしまったことが主な原因だと思います。


とまぁ決して満足はできませんが、4人が集結してチームを組むワクワク感は間違いないので、ここまで来たらぜひディフェンダーズを楽しみましょう!

パニッシャー(2017年)

家族を惨殺された過去を持つ元海兵隊フランク・キャッスル。かつてパニッシャー"として法で裁けない悪党を裁いてきた彼は、家族を失う原因になったマフィアを壊滅させ、名前を変えて別の人生を歩もうとしていた。

しかし家族を殺された無念と悪夢は絶えず、そんな中彼の目の前でまた悪事が行われようとしていた……

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デアデビル シーズン2で登場したパニッシャーことフランク・キャッスル。ディフェンダーズには参加していませんが、その後の物語として描かれます。

今のところパニッシャー』がディフェンダーズシリーズで一番おもしろいです。

超人的な能力もないのに己の肉体と戦闘技術だけを頼りに敵を葬り去っていく姿はまさにダークヒーロー。さらに義理人情に厚く、素晴らしい人間性を兼ね備えています。

ディフェンダーズのメンバーと言えば、とにかく女にだらしない、子供っぽい、年中酒飲んでる、など人間性に問題のあるメンバーばっかりなので新鮮です。


さらに戦いだけではなく本編に登場する”マイクロ”と彼の家族との交流は複雑で悲しい、だけど暖かい家族愛が描かれ、これまでのディフェンダーズには無かった、

「誰も悪くない!みんな幸せになってくれ!!!」

と、心の底から叫びたくなるような人間ドラマも楽しめます。


まさかディフェンダーズに参加していない、スピンオフ的な立場のパニッシャーがここまで面白いとは。むしろ他の4人はもっと頑張れよと言いたくなります。

Netflix系のMCUドラマではパニッシャーが1番好きなのでこんな記事も書きました。

blog.wackwack.net

ジェシカ・ジョーンズ シーズン2(2018年)

ディフェンダーズ』での戦いの後、探偵業を再開したジェシ。仕事は順調ながらも超人的な力を持つことを世間に知られてしまったジェシカは、ヒーロー扱いされる生活にうんざりしていた。

一方でその頃、ジェシカの親友トリシュジェシカが力を手に入れた経緯を探っていた。彼女はとある病院の記録が紛失されている事を知る……

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シーズン1でキルグレイヴとの激闘を制したジェシカが、自分以外にも”作られた”スーパーパワーを持つ人間の存在を知り、ジェシカが力を得た真相を解き明かしていきます。

ジェシカ・ジョーンズ シーズン2は前作にも増して話のトーンが暗く重い。特定のヴィランがいるわけでは無いのですが、ジェシカの身に降りかかる事件や彼女の人生を変えた事故の真相があまりにも残酷で、見ていて気が滅入ります。

謎解きサスペンスとして見ていく楽しみはあり、さらに家族愛がテーマにもなっているのですが、心温まるというよりは心が締め付けられる展開ばかりです。


さらにトリシュのうざったさと危うさはパワーを増して、いよいよ薬漬けになり始める雲行きの怪しさ。そしてこれまでナイスガイだったマルコムも残念な方向に歩き始めてしまいガッカリ感が漂います。


結局は後味の悪い結末を迎え、ジェシカ・ジョーンズは打ち切りになってしまいました。

それでもシーズン2のラスト、ジェシカは新しい家族を見つけられたように思います。それだけが救いです。

ジェシカが幸せになることを願って止みません。そんなジェシカに祈りを捧げるためのシーズン2でした。

ルーク・ケイジ シーズン2(2018年)

コットンマウスやダイヤモンド・バックの一件により一躍ハーレムの英雄となったルークは、街の平和を守る活動を続けていた。しかしその活動は多忙を極め、同棲し始めたクレアとも衝突することが増えている。

一方で現ハーレムパラダイスのオーナーマライアは裏社会をも牛耳ろうと武器の密売に手を染め出す……

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ディフェンダーズでの戦いを経て、亡きポップの代わりにハーレムを守る決意を固めたルーク・ケイジ シーズン2

ジェシカ・ジョーンズ シーズン2ではディフェンダーズの痕跡は全くと言っていいほど有りませんでしたが、本作は違います。まずは刑事ミスティ・ナイトの右腕。ディフェンダーズで腕を切り落とされた彼女は(当然ですが)本作で腕を失った状態で登場します。

またアイアン・フィストことダニー・ランドの存在が序盤からチラホラと見え隠れし、終盤では本人が登場!ジェシカ・ジョーンズ シーズン1以来のルークとアイアン・フィストのクロスオーバーが実現します!!


と、シリーズを通して最もクロスオーバーの良さを活かした展開になっているのですが、ルーク・ケイジ単体作品としては正直言ってイマイチ。

街を守るヒーローとしてのルークが抱える辛さを描く序盤は良かったです。映画の『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ』のようなファンタジーな世界ではなく、現実的な世界で生きるルークが主人公だからこそのリアルな苦悩が胸を打ちます。

しかし中盤にクレアと大喧嘩したあたりから雲行きが怪しくなり、ルークがトチ狂ってクレアが戻らないまま幕引き。これ、製作途中で打ち切りが決まったんでしょうか。制作陣の「あーもう、なんか好き勝手やったろ」という心の声が漏れているようでした。

アイアン・フィスト シーズン2(2018年)

闇の組織「ヤミノテ」の消滅により、ニューヨークのチャイナタウンは「ハチェット」と「タイガース」の2つのマフィアが勢力争いを繰り返していた。

ミッドランド・サークルでの「ヤミノテ」との戦いで姿を消した仲間の意志を継ぎ、アイアン・フィストことダニー・ランドはチャイナタウンで頻発する抗争を止めるべく自警団活動に精力を出していた。

その頃ダニーへの恨みを抱える同志ダヴォスと、兄ウォードの裏切りに怒る従兄弟のジョイは、手を組みダニーとウォード、二人への復讐を企てていた……

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クン・ルンを滅ぼされたものの、ディフェンダーズと協力してヤミノテを倒したアイアンフィストことダニー・ランド

正直に言うと、アイアン・フィスト シーズン1の時から「登場人物が幼稚で薄っぺらい」「話の展開に面白みが無い」「拳一発だけのアイアン・フィストに魅力がない」と、ディフェンダーズシリーズの中でも期待が薄い作品でした。

そんな中でのシーズン2……やっぱりダメでした。


アイアン・フィスト シーズン1』そして『ディフェンダーズ』を見て

「俗世間から隔離されてクン・ルンで修行積んだ奴らはなぜ幼稚で嫉妬と欲にまみれているのか」

と思っていたのですが、シーズン2ではその薄汚い部分がパワーアップしています。


さらに主人公ダニー以外のサブキャラ、特に従兄弟のジョイとウォードの人格破綻者ぶりが激しすぎる。

そんなところばかりが気になって、せっかくのミスティ・ナイトとのクロスオーバーもイマイチ盛り上がらず、ストーリーも頭に全く入ってきませんでした。(これが本当に入ってこなくて、マフィア?が揉めていた理由も良く分かっていない)

そうして何だかんだあって、最強の拳を自分の彼女に譲るという……原作にもあるのでしょうが、本作の流れで見るとクン・ルン勢がダサすぎます。


ラストシーンだけは次作へのワクワク感が高まりましたが、やっぱり打ち切りになってしまいました。

デアデビル シーズン3(2018年)

ディフェンダーズ』の戦いでビルの地下深くに埋もれたデアデビルことマット・マードック

彼は幸運にも瓦礫に埋もれる前に地下水道から川へ流され、奇跡的に一命を取り留めた。今は幼い頃に父を失ってから育てられた修道院に身を寄せている。

一方その頃、かつてデアデビルによって収監されたフィスクはFBIとの法的取引により保釈が決定される。

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デアデビル シーズン2でマットの評価はだだ下がりし、ディフェンダーズでまさに地に落ちました。

しかしこのデアデビル シーズン3』メッチャクチャ面白かった!!!デアデビル シーズン1』『パニッシャー シーズン1』以来の興奮とスリルです!!!


序盤こそ反抗期を迎えた中学生のようにふてくされるマットにイライラしますが、まだ語られていないマットの生い立ちを追いかけながら徐々に力を取り戻していく姿はまさにヒーローの復活劇。

しかし順調に復活するのではなく危うい方向に進みます。最大の要因が宿敵フィスクの釈放。シーズン3はこのフィスクの恐ろしさがとにかく印象的です。

FBIさえ操り自分が生きやすい社会を作っていく。その力はメディアや法定にまで及び、物理的な暴力だけではなく相手の精神をえぐる攻撃に戦慄します。


そしてもうひとり、シーズン3の主人公と言っていいFBIのナディーム捜査官。彼は本作の中では庶民の立ち位置に近く、昇進を焦るあまりフィスクに取り込まれ、汚いものに見てみぬふりをする存在。

しかし夫であり父である彼が、最後の最後に選んだ道は「特別な力を持たなくても、立派な人間じゃなくても、その心さえ持てば誰だってヒーローになれるんだ」と我々に訴えかけてくるものでした。初登場時はモブキャラの一人かと思ったのに、こんな素晴らしいキャラクターに変貌するなんて、それだけでシーズン3の脚本がいかに優れていたのかが分かります。


そして!何と言っても!ディフェンダーズ、いや、MCU全体を通して1,2を争う相棒役のフォギーとカレン。

本作の彼らは道を見失いかけるマットの代わりに圧倒的な正義感と心の強さで正しい道を歩むヒーローです。常に諦めず法の力を信じるフォギー、強靭な勇気とジャーナリズムで壁をぶち壊すカレン。この2人がいることで作品の厚みが増し、重苦しいデアデビルの世界に光が照らされます。


絶望的な戦いからの3人の再会と逆襲。アベンジャーズ顔負けのアベンジを果たす3人に拍手を送りたい。ラストシーンでは次作につながるヴィランの誕生を匂わせて物語は幕を閉じます。

「これならシーズン4も期待できる!」と思ったのに、デアデビルもこれにて打ち切り。本当にもったいない!!!!!

パニッシャー シーズン2(2019年)

フランクはFBIのマダニの計らいで名前と身分を変え自由を手に入れ、気ままな放浪の旅路にいた。

ある日デトロイトのバーに立ち寄ったフランクは女店主のベスと知り合う。互いに愛する人と別れた傷を負う二人は自然と惹かれ合う。

しかしそんな時、謎の少女がバーに現れる。場違いな少女に不信感を覚えるフランク。その予感は的中し少女を追う殺し屋に気づいたフランクは少女を助けるが、それがきっかけで思わぬ戦いに巻き込まれることになる。


一方その頃ニューヨークでは、ビリー・ルッソが意識を取り戻すも過去を覚えておらず、精神的ケアを受けていた。

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パニッシャーのシーズン2。本作の主なテーマは宿敵ビリーとの決着、そして少女エイミーを通した親子関係の構築です。

ビリーは相変わらず人間として大事な何かを欠いたクズ人間で見ていて吐き気がします。そんなビリーとフランクがどのように決着を付けるか、というのも見どころではありますが、本シーズン最大の見どころはやはり少女エイミーとフランクの絆です。


シーズン1で悲惨な過去と一区切りを付けたフランク。そのフランクがこれから生きていくには大切な守るべき人が必要でした。

当初エイミーは生意気でフランクを大事件に巻き込んだクソガキとして描かれていましたが、彼女の悲しい過去や孤独が判明していきフランクと時間を共有するにつれて、信頼関係ができていきます。

気が付けばフランクはエイミーを本気で叱り飛ばし、「俺の大事なガキ」と呼ぶようになる。エイミーも心の底からフランクの身を案じるようになる。

彼らが心から求める大切な人。その大事な人として二人の関係や心境が変わっていく様は、ヒーロードラマを超えた心温まるヒューマンストーリーになっています。間違いなくディフェンダーズシリーズNo1の温かさに溢れています。


一方でパニッシャーが持つ重苦しい雰囲気も健在で、特に初登場の敵ピルグリムの頭のネジの外れようはビリー以上であり、その強さとしぶとさはあまりにも恐ろしい。ディフェンダーズはシリーズが進むにつれて魅力的なヴィランがいませんでしたが、久々の強烈なキャラクターです。


しかしパニッシャーこのシーズンで打ち切りとなってしまいました。

ディフェンダーズでは1番面白かったので非常に残念です。

ジェシカ・ジョーンズ シーズン3(2019年)

ジェシは母の死から逃れるように日々、黙々と仕事をこなしていた。

一方でトリシュは手に入れた特殊能力を開花させるべく、母ドロシーから隠れてトレーニングを重ねている。

そんなある時ジェシカはバーでエリックと知り合い、彼を部屋に招き入れる。が、そこに覆面の男が現れ不意を突かれたジェシカは腹部を刺され重症を負ってしまう。

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ジェシカ・ジョーンズのシーズン3にして、Netflixマーベルドラマシリーズの最終作。

本作のテーマはMCUや他作品で幾度となく問われてきたであろう「ヒーローとはなにか?」

望まない超パワーを手に入れてしまったジェシカと、小さい頃から母親の影響を強く受け歪んだ正義感を身に付けてパワーを望んだトリシュ。

1作目から始まった2人の姉妹の対立にいよいよ決着が付きます。


作品の雰囲気は相変わらず暗く、重たいごっついハードボイルド。

正直に言えば話の派手さはまったくなく、デアデビルパニッシャーのようなアクションもありません。そのへんを期待するとがっかりしてしまいます。

しかし、作品のテーマ「ヒーローとはなにか?」をジェシカとトリシュを通して深く問いかけ、キレイゴトだけでは済まされない力を持つ者の責務を追求しています。

ジェシカ・ジョーンズひいてはマーベルのNetflixシリーズはここで終わりになりそうですが、アメコミヒーロー全盛期の現代において、これほどまでに徹底的にシリアスにヒーローの存在意義を問う作品は他に無いのではないでしょうか。

ディープなヒーローの世界へようこそ

以上、Netflixで見れるマーベルドラマ『ディフェンダーズ』シリーズの見るべき順番とその魅力をご紹介しました。

ディフェンダーズで描かれる世界は、映画シリーズとは全く雰囲気が異なります。しかし映画とドラマはMCUとしてつながっており、紛れもない同一世界。

ディフェンダーズは間違いなくヒーローのひとつのあり方を示した物語。

決して華やかでなければ完璧でもないヒーローたち。だからこそ人間味に溢れ親しみがあり、「本当のヒーローってなんだ?」と考えさせられる。

あなたもそんなディープなヒーローの世界へ足を踏み込んでみませんか?


ディフェンダーズシリーズはNetflixでのみ配信されています。月額800円ですべて見ることができますよ!

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*1:スピンオフで『パニッシャー』もいるよ。