こんにちは。
以前こんな記事を書きました。
私はサザンが好きなのはもちろん、桑田佳祐ソロ名義の楽曲も大好きです。
桑田佳祐のプレイリストを聴いていると妻に、
「またサザン聴いてるの?」
と言われ、心の中で
「サザンじゃなくて桑田佳祐ですから!!!!」
と叫んでいます。
そんな悔しさから「桑田佳祐ソロ名義の紹介記事を書こう」と考え、なかなか書き上げきれずにダラダラしていたら、なんと新型コロナウイルスによる鬱々とした日々を打破すべくYouTubeの公式チャンネルで数々のミュージックビデオFull Verが公開されました!!
ということで聴くなら今がチャンス!!個人的に大好きな桑田佳祐ソロ名義の傑作18曲を紹介します!!
紹介順にそれほど意味はありませんが、マイベストアルバムを作るならこんな感じかな、
という順で並べています。
※正確には桑田佳祐名義ではない楽曲もありますが、ここではサザンオールスターズ名義以外のものを全てソロ名義とします。
- ROCK AND ROLL HERO
- 波乗りジョニー
- 白い恋人達
- 哀しみのプリズナー
- 飛べないモスキート
- Just A Man in Love 悲しい気持ち
- 真夜中のダンディー
- どん底のブルース
- 月
- スキップビート(skiped beat)
- ダーリン
- 明日晴れるかな
- 銀河の星屑
- 奇跡の地球
- 祭りのあと
- 質量とエネルギーの等価性
- 月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)
ROCK AND ROLL HERO
私がソロの桑田佳祐にハマりだした曲。
コカ・コーラのCMソングとして作られ、軽快で爽やかなメロディが印象に残ります。
しかしそのメロディのポップさとは裏腹に、国際社会で強く出られずアメリカの顔色をうかがってばかりの日本の政治家、そしてその政治家を選んだ愚かな日本国民を皮肉った、ゴリゴリの社会風刺な曲になっています。
このメロディーと歌詞のギャップ、バランスは唯一無二。表現の天才、桑田佳祐の才能が発揮された一曲です。
波乗りジョニー
ソロシンガー桑田佳祐の地位を不動のものとした、ソロの代表曲。CD売上はソロ名義で初となるミリオンセラーを記録しました。
まさに「波乗り」を連想させる爽やかなメロディーと、切なさ全開の淡い恋を連想させる歌詞。
誰が聴いても耳に残り夏がくれば思い出す、J-POPの礎にして頂点に君臨する夏の歌。
そしてあれほどキャッチーなメロディなのにカラオケで歌うとサビの音程が分からなくなる、謎に満ちた曲でもあります(個人的見解)
白い恋人達
桑田佳祐の才能を改めて世に知らしめた、波乗りジョニーに並ぶ代表曲。
大大大ヒットを記録した波乗りジョニーの次に発売されたのがこの曲は、波乗りジョニー同様にコカ・コーラのCM曲として万人に受け入れられまたもやミリオンセラーとなりました。
波乗りジョニーとは正反対の冬を舞台に波乗りジョニーと異なるバラード調で、波乗りジョニーと同じ「恋」を歌う。この自由自在に歌を操る能力にはただただ脱帽です。
優しく包み込むようなメロディーと歌声が、冬枯れの心に暖かく響き渡ります。
哀しみのプリズナー
タイトルのとおりプリズナー(囚人)をモチーフとした、恋人との再開を望む哀しき男の曲。
歌詞には憂いが漂いますが、その奥にはメラメラと燃え上がる、愛に囚われた男の情念が見え隠れします。
スタイリッシュで情熱的な大人の一曲です。
飛べないモスキート
メロディーそのものはポップで耳に馴染みます。
しかし歌詞に目を向けると
「暗い教室の隅で彼は泣いている」「重い十字架を生きるために抱いてる」「あらぬ良識で大人たちは逃げている」
とただ事ではない、なにか大きなメッセージが込められていることに気付きます。
率直に感じるのは”いじめ”でしょうか。上に挙げた歌詞がしっくりくるのと、自由に、ありのままに生きられない=飛べないモスキート(蚊)にも繋がります。
さらにファンの間で言われているのが「薬害エイズに苦しむ人たちへ向けた歌」であるということです。「生命をつなぐ赤い川の水」という歌詞は、たしかに輸血により感染したエイズを連想させます。
実際に桑田佳祐はAct Against Aidsに関連した音楽フェスにも参加していたりします。
前半は終始暗く悲しい歌詞が目立つこの曲ですが、2番のサビでは「いつか大空に架かる虹を待っている」、そして最後のサビに「どんな未来になるだろう」と、少し明るい兆しも感じます。
ですが未来は明るい、と断言はしていません。いじめや差別、偏見に苦しむ人たち。彼らを助けるべきは他でもない、この曲を今聴いている我々なんだと言われているかのようです。
Just A Man in Love 悲しい気持ち
「ポップでありながら寂しさを感じさせる曲」というのは、桑田佳祐の得意とするところですが、この曲がまさにドンピシャです。
恋に敗れた男の気持ちを軽やかに、少しばかりの涙の塩気で味付けしています。
でもそこに暗さや重さは感じられず、スッキリとした後味だから何回でも聴ける。永遠に聴ける。
真夜中のダンディー
男、女、友情、家族、仕事、人生。
どんなことでも満足いくような結末にはならなず、人生に溢れるのは「妥協」の二文字。それに気づいた、疲れきったオッサンの嘆きが胸にズシンとくる一曲。
曲調や歌い方こそおどけていますが、その歌詞は平凡(と感じる)人生を送る私たち誰にとってもどこか共感できるフレーズと落胆した雰囲気に溢れています。
子どもには分からない、人生を積み重ねたからこそ胸に響く、大人の一曲です。
どん底のブルース
歌詞もメロディも暗く重い。この世に救いなんてものは無いとさえ思わせる、絶望を嘆いた魂の歌。
イジメ、日和見の大人たち、汚れた政治、環境破壊。
大小関係なく現代に蔓延る社会問題を一つの曲にまとめてリスナーに叩きつけてくる桑田佳祐。この歌を聴いて自分たちになにができるだろうか。もうすっかり大人となってしまった自分に問いかけずにはいられません。
ポップな曲ばかりでなく、本作のようなおどろおどろしい曲も作れてしまうあたり、化物です。
月
美しいメロディと歌詞が紡ぐ、まるで文学作品かのような一曲。
一見すると男女の愛を歌っているように見えますが、「(桑田佳祐の)母が亡くなったことに影響を受けている」との話もあるように、死者を弔う、お別れの歌のようにも思えます。
聴く人によってその後ろに様々なメッセージや情景を思い起こさせる。音楽であり文学。もはや芸術品の域に達しています。
スキップビート(skiped beat)
「これぞ桑田佳祐」と言える、大人の雰囲気が漂うジャズナンバー。
その歌詞に目を向けるとエロスそのものです。ちょっと異常です。
だってサビに「割れたパーツのマニア」って、普通使いますか??国民的アーティストが??さすがにどうかしてる。
さらにサザンでもソロでも日本語と英語ごちゃ混ぜの歌詞が特徴の桑田佳祐ですが、ことこの曲に関しては
「Skiped beatってスッケベーに聞こえるやん」
という常人には考え付かない、異次元の発想でパワーワードをぶっ込んできました。
ここまで来ると単なるおちゃらけた歌で終わってしまいそうですが、それを抜群のワードセンスと渋くカッコイイメロディでまとめてくるんだからもうお手上げ。卑猥な歌詞にもかかわらず、女性に歌手もカバーされるほどの洒落た曲に仕上がっています。
「スッケベー」も最高だし、途中に入るシャウトも最高です。
ダーリン
サザンそして桑田佳祐の楽曲は彼が幼い頃から慣れ親しんだ歌謡曲に大きな影響を受けています。
その歌謡曲とポップスが溶け合い、昭和のような、平成のような、何とも言えないいい感じの風情が感じられる一曲。
歌の内容は「愛する人を想ってその愛を諦める、ダメな男」というもので、これまた年齢を重ねた大人たちを泣かせる人情味に溢れたもの。
悲しいけど爽やか、爽やかだけど悲しい。そしてどこか懐かしい。
「哀愁」とはこの歌のために生まれた言葉、そう言ってもいいでしょう。
明日晴れるかな
ドラマ『プロポーズ大作戦』の人気とともにヒットしたバラード。
もう戻れない過去を振り返り、涙を流す。でも、今この先には未来が広がっている。その道を前を向いて歩いて行くか、それは私たち次第なんだ........
そんなメッセージが優しい歌声に込められています。
私はサザンも桑田佳祐ソロもポップでロックな、アップテンポの曲が好きです。しかしこのバラードだけは別格。胸に熱い気持ちが込み上げる、至極のみナンバーです。
銀河の星屑
あの世を歌った、ヴァイオリンの旋律が印象的なナンバー。
その歌詞は「生と死の狭間」を思わ、まさにこの曲(アルバム)が発売される前に桑田佳祐は食道ガンによりあの世とこの世をさまよいました。
実際にはガンが判明するよりも前に出来上がった曲ですが、この曲と歌い手の巡り合わせは、神の仕業としか思えません。
奇跡の地球
Mr.Childrenの桜井和寿との共演で熱いメッセージを放つ曲です。
エイズ撲滅キャンペーン(Acr against Aids)の一環として制作されたこの曲ですが、とにかく超大物シンガー二人のデュエットが熱すぎます。
貧困や環境汚染など世界レベルの社会問題を投げかける重いものですが、そこに力強く二人の歌声が響き、かすかな光が、奇跡の地球が見えるかのような壮大な楽曲です。
祭りのあと
出た!桑田佳祐と言ったらもう、この曲でしょう!!
情けない男の、ぶれない生き様を歌い上げた傑作ですよ。
「悪さしながら男なら、粋で優しいバカでいろ」
は日本音楽界に残る屈指の名フレーズです。
この曲についてはもう多くを語る必要もありません。日本のすべてのオッサンたちよ、が今すぐ聴け、そして、泣け。
質量とエネルギーの等価性
桑田佳祐のソロ楽曲の中でもかなりマイナーでライブでもほとんど歌われませんが、個人的にはソロ名義の曲の中で一番好きな曲です。
タイトルの『質量とエネルギーの等価性』とはもちろんアインシュタインの相対性理論のことで、歌詞にも「E=MC2」が出てきます。
相対性理論だけではなく「デカルト」「ロック」「イデア」「カルマ」「ロゴス」「ラプラスの魔」「サテリコン」「フェリーニ」といった哲学、神話、科学、芸術などあらゆる分野の言葉が登場します。
桑田佳祐が実際にこれらの本をざっと読み漁って書いた歌詞らしいですが、そこにはいかなるメッセージが込められているのか推測したくなります。
.......ですが、個人的な見解としては歌詞そのものに意味はないように思います。あたかも意味がありそうなカタカナ言葉と日本語、英語を交えて響きの良いフレーズを編み出していく。
著書のタイトルに「ただのか歌詩じゃねえか、こんなもん」と付けるほど、言葉のイメージや響きをから曲を作ることも多く、脈絡のない言葉が並ぶこの曲がまさにそうでしょう。でもそのワードセンスが抜群だからこそ、意味が分からない歌詞でも心地良い。
そしてそれを乗せる骨太ゴリゴリのロックなメロディー。『波乗りジョニー』や『白い恋人たち』、はてはちびまる子ちゃんのテーマソング(『100万年の幸せ』)といったポップな曲を生み出す人と同一人物とは思えません。
劇薬を飲まされたような、頭がクラクラするまさに合法的麻薬かのようなイカれたナンバーです。
月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)
今、この瞬間、人知れず泣いている人がいる。
今、この瞬間、人知れず戦っている人がいる。
今、この瞬間、人知れず前を向いて歩き出した人がいる。
癌という大病と戦った桑田佳祐が、悩める人、戦う人、走りつづける人に贈る魂のエール。
聴けば、自分の心のどこかに沁みる、響き渡る。不思議な優しさに包まれたバラードです。
以上、桑田佳祐ソロ名義の傑作18曲を紹介しました。
本当はもっともっとあるんですけどね。
『可愛いミーナ』『東京ジプシーロード』『100万本の赤い薔薇』『BAN BAN BAN』『すべての歌に懺悔しな』......
などなど。悩みに悩んで18曲まで絞りました。
桑田佳祐の持ち味は作詞、作曲における振り幅の大きさです。
「スッケベー」とか歌っていたオッサンがいつの間にか切ないバラードや爽やかで元気になれる曲を生み出すんです。
失礼ながら、決して顔が良い(イケメン)なわけでもなく、歌声も独特。にも関わらず日本を代表するアーティストになっていることこそが、桑田佳祐の生み出す曲そのものがとんでもない魅力に溢れている証拠です。
少し前にサザンのサブスクがついに解禁されました。さらに記事冒頭でも紹介したように、新型コロナウイルスによる鬱々とした日々への応援としてYouTubeの公式チャンネルでミュージックビデオが公開されています。
感染症に恐れ、自粛に疲れたこんな時だからこそ、何でもありの桑田佳祐が生み出した名曲にどっぷりつかってみましょう。