新築建売でネット銀行の住宅ローンを使いたいなら契約から決済までの期間に気をつけよう

こんにちは。

私、今年ついに住宅を購入しました!!注文住宅ではなく新築の建売住宅です。

「住宅購入は人生で一番大きな買い物」なんて言いますがまさにそのとおりで、その過程は何もかもが初めての経験でした。

そして住宅ローンの申し込みも当然はじめてだったのですが……この罠にドハマリしてしまい、時間に追われ精神的にも疲れ切ってしまいました。

 

住宅ローンは長らく超低金利時代が続いており、それを象徴するのが実店舗を持たない超低金利が売りのネット銀行です。

「固定金利か変動金利か、それともフラット35か」「団体信用生命保険の特約はどんなものを付けたらいいのか」「単独ローンかペアローンか」など、住宅ローンの中身については本やネットで一生懸命調べていたのですが、実際に住宅ローンを借り入れるまでの段取りやそのスケジュール感を十分に把握していませんでした。

そのせいで危うくネット銀行でローンの借入ができないところでした……借入額によっては金利が0.1%違えば100万単位で返済利子が変わってくるため、誰でも低い金利の銀行を使いたいと思うでしょう。

今回はこれから新築建売住宅を購入しようとしている方のために、本やネットではあまり取りあげられていない住宅ローンを借りるまでの期間について、気をつけるべき点を紹介していきます。

※これはあくまで新築建売の場合です。注文住宅やマンション、中古物件には必ずしも当てはまらないのでご注意ください。
※記事中に記載の新築建売や住宅ローンに関する情報は私自身がインターネットで収集した内容と実体験によるものです。あくまで参考情報ですので、実際の物件購入や住宅ローンの借入に関してはご自身の責任と判断でお願いします。

新築建売における住宅ローン借入最大の問題は「契約から決済までが短い」こと!!

最初に結論を述べます。

新築建売物件の購入でなぜ住宅ローンを借り入れるまでの期間に気を付けなければならいのか、その最大の理由が新築建売の多くは「契約から決済するまでの期間が非常に短く設定されている」ためです。

「契約」と「決済」について

話の前提として、新築建売を購入する場合の一般的なスケジュールを以下に示します。 住宅ローンの借入スケジュール:w=800

このとき大切なのが「契約」「決済」のタイミングです。

なぜこの2つが重要かというと、

  • 不動産売買契約を結ばなければ住宅ローンの本審査に申し込めない
  • 本審査を通過することで決済日が確定し、決済日に融資が実行される
  • 決済日には銀行→住宅購入者→売主(ホームメーカー)という流れで住宅ローンの借入額(+頭金)が振り込まれ、それをもって建売住宅は正式に購入者のものになる。

という流れで取引が行われるためです。

  最も大事な決済日は不動産売買契約書で取り決められます。契約時点で決済日が決められるため、購入者は決済日に間に合うように銀行と住宅ローンの調整を進める必要があるのです。

そしてこの決済日、基本的には売主(ハウスメーカー)の都合で決められるため買主側に合わせて後ろにずらすということはめったにありません。

新築建売物件の契約から決済までの期間は長くても1ヶ月!!

契約と決済の前提を確認したところで本題です。

新築建売物件の多くは決済日が契約から1ヶ月以内に設定されます。これは長くても1ヶ月ということであり、2、3週間程度しか期間がないことも多いようです。

それに対して金利が低くて大人気のネット銀行のほとんどは「本審査を申し込んでから融資の実行までには1ヶ月~1ヶ月半かかる」としています。しかもこれは途中手続きに不備がなく、スムーズに進んだ場合です。

  この2つの観点で考えれば自ずと金利が低いネット銀行を使いたいと思っても、新築建売の決済までには借入が間に合わない可能性がある」という話が見えてきます。

そして不動産売買契約は「ネット銀行の借入が間に合わないのでやっぱりやめます」というような軽いノリで破棄できるものではありません。*1そうすると金利の高い地銀やノンバンクを使わざるを得ない可能性も出てきます。

 

新築建売でネット銀行を使うのが難しい直接原因がわかったところで、

  • なぜ新築建売は決済までの期間が短いのか
  • なぜネット銀行の融資実行に時間がかかるのか

という根本原因に迫ります。

なぜ新築建売は決済までの期間は短いのか

『新築建売』と言ったとき、私としては大きく2つに分かれると考えています。

それは「パワービルダー系とそれ以外」です。そして実は私自身が購入した住宅を含めてこの記事で指す『新築建売』とはパワービルダー系を指します。

逆にそれ以外というのは注文住宅を主戦場とするような大手ハウスメーカーや地元の工務店、仲介業も営むような建築数が少ない業者を指します。そのため、これらのパワービルダー以外の建売では少し事情が異なる可能性がありますのでご注意ください。

 

パワービルダーと呼ばれるハウスメーカーですが、一般にはそこまで名前が知られていないかもしれません。しかし例えば日本最大のパワービルダーである飯田グループHDはグループ全体でなんと1年間で3万棟以上の建売物件を上棟しています。

平均すると1日100棟近く出来あがっている計算です。驚異的な数字です。

www.ighd.co.jp

この数字から分かるとおり現代の新築建売物件、特に地価が高い都市部の建売物件は圧倒的にパワービルダー系が多いのです。

  パワービルダーの建売物件には

  • 圧倒的に上棟数が多い
  • 建築期間が短い
  • 立地に対する価格が安い

という特徴があります。要するにパワービルダーのビジネスモデルは「とにかく大量に早く建てて求めやすい価格でガンガン売る」というものなのです。

このためパワービルダー系のハウスメーカーからすればとにかく早く資金を回収して、その資金を次の建築に投入したいわけです。これが契約から決済までの期間が非常に短く設定されている理由です。

そしてそのようなビジネスモデルであるため購入者側から「決済日をずらしてほしい」というお願いは、よほどのことがなければ聞き入れてもらえない可能性が高いです。

なぜネット銀行は審査や手続きに時間がかかるのか

続いてなぜネット銀行の住宅ローンは融資実行までに時間がかかるのか、についてです。

その理由は大きく2つ「ほとんど審査しない事前審査」「郵送による手続」が考えられます。

ほとんど審査しない事前審査

まずはこれ。

ネット銀行はそのほとんどが本審査から融資実行までに1ヶ月~1ヶ月半かかると紹介しましたが、一方でネット銀行の多くが「事前審査は最短で即日」とうたっています。

事実、私も事前審査を使った全てのネット銀行は即日で審査結果が帰ってきました。

反対に地銀やメガバンクなど店舗を構える銀行は事前審査に1週間ほどかかるケースもあります。

  なぜネット銀行の事前審査が早いのかといえば、ネット銀行の事前審査は年収と借入額のバランスなど簡易な入力内容から機械的に審査をしているため、と思われます。

通常の銀行であれば事前審査の段階でも源泉徴収票を提出するなどして人手で時間をかけてある程度の審査が行われますが、ネット銀行の場合は基本的にはWEBの入力だけです。

このため「地銀やメガバンクで事前審査がとおったなら本審査で落ちることはまず無い」とされる、一方でネット銀行は文字通り本審査が実際の本格的な審査になるため「審査に時間もかかるし非承認となる可能性が通常の銀行よりも高い」とされています。

書類のやり取りは郵送がメイン

ネット銀行はよく「窓口に出向く必要が無いから手続きが楽チン!」と聞きますが、これは大きな間違いです。

なぜなら店舗に出向く場合には事前審査を行った不動産仲介業者が必要書類のお膳立てをしてくれますし、銀行窓口でも書類に不備などがあればその場で指摘してくれるでしょう。要するに買主の慣れない作業を、慣れた人たちがその場でサポートしてくれます。

一方でネット銀行の場合は全て自分でやらなければなりません。大量の物件関係資料を自分でコピーし、申込書を一人で書き、自分で銀行に郵送します。

もしも郵送してから書類の不備や不足があれば、書類を直して再度郵送します。

  住宅ローンの本審査には書かなければならない項目や提出しなければならない書類が大量にあります。しかもほとんどの人は住宅ローンの本審査申込みそのものが初めての経験です。その中で、一発でミスなく書類手続きを終えることができるでしょうか?

ネット銀行も営業時間は基本的に平日ですから、もし1度でもミスがあれば書類の修正と郵送のやり直しで1週間ほどスケジュールがずれ込む可能性もあります。

  「新築建売の決済までは長くても1ヶ月」「ネット銀行の多くは融資実行までに1ヶ月~1ヶ月半」を考えれば、郵送手続きでミスがあればネット銀行の借入はまず間に合わない危険性がグッと高まります。  

新築建売でネット銀行を使いたいなら「ネット完結型の銀行」を選ぶべし

パワービルダーのビジネスモデルとネット銀行の仕組みによって、新築建売でのネット銀行による住宅ローン借入は難しいことを説明してきました。

それでもこの超低金利時代「新築建売でもネット銀行の住宅ローンを使いたい」と考えるのは自然でしょう。

 

残念ながらスケジュール的に利用できないネット銀行というのは少なからず出てくると思いますが、購入側としてできることはネット完結型のネット銀行を選ぶことです。

ネット完結型とはつまり「住宅ローンの借入手続きの中に郵送手続きが存在しない」ということです。それが可能なのがauじぶん銀行ジャパンネット銀行です。

ちなみにみずほ銀行のネット専用住宅ローンもネット完結型ですが、こちらは本審査から借入日までの期間が1ヶ月以内だとシステム上入力できないという仕様でした。

auじぶん銀行

www.jibunbank.co.jp

auじぶん銀行「本審査から融資実行まで最短2週間」とうたっているように、ネット銀行の中でも最速の融資実行期間をウリの一つにしています。

特徴は

  • 事前審査の入力項目が細かい
  • 書類の提出は電子データかカメラ撮影でアップロード
  • 契約も電子契約

という点です。

特に1点目については事前審査の段階で多くの項目を入力するため少し大変ですが、その分本審査時の入力がぐっと楽になります。

またauじぶん銀行の事前審査では「決済までの期間」という入力項目で「1ヶ月以内(至急)」という選択肢があるため、銀行側に急ぎの案件であると伝えることができます。

ジャパンネット銀行

finance.recruit.co.jp

ジャパンネット銀行も同様に全てネット上での手続きが可能です。

特徴としては以下の点が挙げられます。

  • 住宅ローン申し込み専用サイト上で銀行担当者とコミュニケーションが取れる(コンタクトボード)
  • 書類の提出は電子データかカメラ撮影でアップロード
  • 契約も電子契約

ただしauじぶん銀行のように「決済まで早い」とは明確にうたっていないため、本当にその日に借入ができるのかは事前に銀行側に良く確認する必要があります。(私も実際に「借入日は調整になるかも」と言われ、提出書類関係の期限感はauじぶん銀行よりもタイトでした)

新築建売でネット銀行の住宅ローンを使うための段取りはこれだ!!

ここまでをまとめて、新築建売物件でネット銀行の住宅ローンを使いたい場合の私が考える段取りは次のようになります。 ネット銀行を使った住宅ローンの借入スケジュール:w=800

特に意識すべきは事前審査と本審査のタイミングです。

住宅ローンの事前審査は購入物件や借入額が決まっていなくも申し込みが可能です。しかしながら本審査をよりスムーズに進めるために、購入したい物件が見つかった段階で不動産屋さんに諸費用や追加工事などを含めた詳細かつ少し金額を高めにした見積を出してもらいましょう。

これは以下の理由によります。

  1. 本審査時の入力内容の訂正を最小限に抑えること
  2. 事前審査から本審査に進んだ場合に借入額を増やすのは審査結果に大きく影響するが、減らす分には影響は小さい(と思われる)

 

事前審査を契約の1週間前に申し込んでおけば、本契約後すぐにネット銀行の本審査へと進めます。

不動産関係書類は量が多く、かつサイズもA3とA4入り乱れていたりするのでコンビニのコピー機で一気に電子データ化し、即日でauじぶん銀行ジャパンネット銀行に本審査に申し込むことをおすすめします。

この2つのネット銀行はネット完結型ですので、万が一書類の不備や不足があってもWEB上ですぐに対応することが可能です。

 

 

このスケジュールであれば新築建売でもギリッギリでネット銀行の住宅ローンが使えるのではないでしょうか。実際に私もなんとかネット銀行で借り入れることができました。

ただし私の場合は契約から決済までの期間が運良く1ヶ月ありましたが、それが3週間、2週間となればこれでも厳しいかもしれません。

「ネット銀行以外の住宅ローンは使いたくない」と考えるのであれば、購入申込前に契約から決済までの期間を確認しておくのも手です。

 

 

とにかく住宅ローンの申込は人生で初めての一大イベントにも関わらず、具体的な借入スケジュールなど細かい点は誰も教えてくれません。

この記事が住宅購入計画の助けになれば幸いです。

住宅ローンはこうして借りなさい 改訂7版

*1:正確には「手付放棄」や「融資特約」などで破棄できる可能性もありますがここでは深く触れません。