映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』の感想 細かいことはいいんだよ!楽しい映画ってこういうもんだろ?

こんにちは。

Amazonプライムビデオでシェフ 三ツ星フードトラック始めましたを見ました。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました (字幕版)


監督・主演は『アイアンマン』を手がけたことで一躍有名になったジョン・ファブロー。さらにそのつながりで(?)ちょい役にロバート・ダウニーJrスカーレット・ヨハンソンなど豪華キャストが出演しています。


タイトル通り

「三ツ星レストランのシェフが屋台をはじめたよー」

という、至極単純なストーリーであり、内容としても

「悲しいこともあまり起こらず、誰も損しない、みんな喜ぶストーリー」

となっています。どんな人でも楽しめます。

あらすじ

一流レストランのシェフ、カール・キャスパー。彼が勤めるレストランに飲食ブログ大人気のブロガーが訪れることになる。

カールは腕によりをかけた独創的な料理を提供しようとするが、オーナーに定番メニューを出すように言われ、それに従った結果カールの料理はブロガーから厳しい批判を受けた。

ブローガーの批評に怒りが収まらないカールは、別れた妻と暮らす息子のパーシーにTwitterの使い方を教えてもらい、ブロガーに反論する。しかしその投稿が物議を醸しカールはレストランを追い出される。

時間ができたカールは元妻の地元で食べたキューバ料理に感激し、フードトラックを始めることを思い付くのだった。

キャスト・スタッフ

感想

単純明快なストーリー

この映画が誰でも楽しめるポイントとして単純でわかりやすいストーリーがあります。


「自分の力を発揮できない雇われシェフが、自由を求めてフードトラックを始める。」

「その中ででこれまで深く関わってこなかった息子との絆を取り戻す。」


というヒューマンドラマ。

また炎上のきっかけや、フードトラックの宣伝としてTwitterSNS)が大活躍するなど、現代的な要素も取り入れています。


小難しいことを考えずに、画面の中の情報だけで楽しめるストーリー。

そこに”料理”が良いアクセントとして効いてきます。

音楽に合わせて展開する料理に釘付け

この映画のポイントは何と言っても”料理”

そこかしこで主人公カールの調理が映し出されます。

色鮮やかな食材をカールが手際良く調理し、ラテン調のノリノリの音楽が乗っかる。

その一連の様子はまるでショーを見ているかのようです。


思わず体を揺らしながら出来上がる料理にヨダレを垂らしてしまいます。

作る料理も下準備を十分にして手間暇加えた複雑なものから、チーズを挟んだサンドウィッチのようにとてもシンプルなものまで様々。

画面を見ているだけで幸せな気持ちになれるでしょう。

フードトラックが超楽しそう

料理と並んでノリノリになれるのが、中盤以降に訪れるフードトラックの快進撃。

カールたちのフードトラックはフロリダからロサンゼルスへ向かい、アメリカを横断しながら様々な場所を訪れます。

メンバーはカールと元同僚のマーティン、そして息子のパーシーの野郎3人。

男たちがラテンの音楽に合わせて実に楽しそうにドライブし、忙しそうにフードトラックで料理を作る。さらにご当地特有の食材に舌鼓を打ち、それを自分たちの商品に取り入れる。


フードトラックを営む経験はなくても

「仲間とめっちゃ楽しいことしてる」

という経験は誰でもあるでしょう。男3人のフードトラックは懐かしくとんでもなくワクワクする”あの”感覚を、見ているものに思い出させます。

この辺はおっさんになればなるほどグッとくるものがあるのではないでしょうか。


さらにTwitterでの拡散っぷりが視覚効果として画面に映し出される点も、分かりやすくてグッドポイントです。

フードトラックを始めるまでが長い

とまぁ、とにかくこの映画の良さは見て聴いて体感するのが一番です。

しかし欠点が無いわけではありません。


私が最初に感じたのは、

「三ツ星シェフのフードトラック……始まらないんですが?」

です。


というのも、ノリと勢いが凄く(個人の見解)フードトラックを始めたらあっという間に快進撃で話が終わってしまいます。

フードトラックを始めてからの失敗や葛藤は皆無であり、全ての苦難は物語の前半に訪れます。

そんな感じなので、フードトラックを始めるまでが長っっっっっっい。

映画のタイトルは「三ツ星シェフ SNSで大炎上しました」の方が合っているんじゃないでしょうか。


フードトラックが始まっちゃえば楽しいんですが、特に店を辞めるまでの件が少し退屈です。

ヒューマンドラマはあまり無い

「フードトラックが始まればあとはあっという間に話が終わる」という点にも関係するのですが、正直言ってヒューマンドラマはほとんどありません。

  • なぜ妻と別れたの?

  • なぜ息子との関係が浅かったの?

  • なぜそこまでして雇われシェフを続ける必要があったの?

  • なぜマーティンはあんなに良いやつなの?

  • なぜ元妻とそんなにいい感じにヨリを戻せるの?

  • モリースカーレット・ヨハンソン)とマービン(ロバート・ダウニー・Jr)いらなくね?


と、次から次へ疑問が浮かび上がります。なぜならこれらについての背景や理由、登場人物たちの思考がほとんど描かれないからです。

特にスカーレット・ヨハンソンロバート・ダウニー・Jrのキャラクターはいなくてもストーリー上は一切影響がありませんでした。ゲスト出演というのは分かるのですが、それならそれであの尺の取り方は長すぎます。


そして何よりもあんなおじさんと結婚し、子供を産んでなおエロスが溢れ出る妻イネスの存在が不自然過ぎます。


というように、ヒューマンドラマを装っていますがヒューマンドラマはほとんど描かれません。

とにかく、

音楽!料理!ノリ!

を楽しむための映画です。

気楽に映画を楽しみたい人にはうってつけ

以上、映画『三ツ星シェフ フードトラック始めました』をご紹介しました。

この映画、誰にでも楽しめるのは間違いないと思いますが、ヒューマンドラマや濃密なストーリーを求める作品ではありません。

  • 何も考えなくても画面を見るだけで楽しめる
  • 重い話はいらない!誰も不幸にならないハッピーが欲しい!

という人におすすめです。そのつもりで見れば必ず楽しめます。


昨今の映画はストーリーがどうだの、作品のテーマがどうだの、小難しいことを考えすぎなのかもしれません。

たまには頭空っぽで楽しめる作品があってもいいじゃないか!というか映画ってそういうもんじゃないのか!?


本作の主人公カールは、”雇われ監督”として『アイアンマン2』を制作し、「金儲け目当てだ!」と叩かれたジョン・ファブローそのものです。

「自由にやるってのはこんなにも楽しいことなんだ!」とジョン・ファブローは伝えたかったのだと思います。


ということで映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』をAmazonプライムビデオでぜひお試しください!!