こんにちは。
ここ数週間のうちに『Mastodon』(マストドン)という新しいSNSが話題になっています。
Googleで検索すれば使い方を解説する記事はたくさん見つかると思いますが、
ということで、「Mastodonってなに?」「名前は知ってる」というレベルの人に向けてMastodonを紹介します。サービスの概要を中心に書いていきますので、詳しい使い方等は他のネット記事を参考にしてください。
『Mastodon』ってなんだ!?
です。
こんな感じに自分のつぶやきや他の人のつぶやきがタイムラインに表示されます。
「え?Twitter?」と思いましたよね。
はい、Mastodonできることは大体Twitterと同じという認識でほぼ間違いありません。
Mastodonの機能
つぶやく
これが基本。Twitterでは「ツイート」と言いますが、Mastodonでは「トゥート」(TOOT:「吠える」の意)と言います。
Twitterと機能的に異なる点は「1度のつぶやきは500文字まで」や「センシティブなつぶやきを保護できる」(下図を参照)というところでしょうか。
当然ながら他の人のつぶやきも見ることができます。
フォロー
これもTwitterと同じですね。
「相互フォローしていなくてもダイレクトメッセージが送れる」など、Twitterと異なる部分もあります。
Twitterと何が違うの?
「結局Twitterと同じじゃねーか!」と思いますよね。
Mastodon最大の特徴は
であるということです。
Mastodonは分散型SNS
たとえばTwitterはTwitter社が全てのサービスを提供する”集中型”のSNSです。ユーザーのつぶやきは全てTwitter社に集められ、そのデータが他のユーザーに配信されます。
だからTwitter社が突然「今日でTwitterのサービスは止めます!!」と言ったら、私たちはもうTwitterをすることはできません。
一方でMastodonはサービスの提供を誰でも好き勝手にできる”分散型”のSNSです。個人・法人世界中に有志が立ち上げたMastodonのサーバーが存在し、ユーザーは好きなサーバーを選択してMastodonでつぶやきます。
「サーバーが異なる=ドメイン(URL)が異なる」ということを意味しますが、Mastodonではそれぞれのドメインを『インスタンス』と呼びます。
利用者は好きなインスタンスを選んで登録し、そこでつぶやきます。
だから自分が参加するインスタンスが「今日でMastodonのサービス止めます!」と言ったとしても、別のインスタンスに引っ越せば良いのです。
インスタンスが異なればアカウントも異なる
分散型SNSであることを踏まえたMastodonのポイントとして「インスタンス間でアカウントは共有できない」ことが挙げられます。
以下は私がドメイン「mstdn.social」と「mastodon.wackwack.net」にそれぞれ登録したID「quo1987」のMastodonユーザーですが、アイコンもつぶやきも全て違うことが分かります。
ここで注目してもらいたいのはIDの下の文字列です。
「@quo1987@mstdn.social」「@quo1987@mastodon.wackwack.net」とあるように、Mastodonではユーザーを一意に識別するIDの形式が”@ID@ドメイン”となります。
分散すると何が起こるのか
その結果Mastodonというサービスは「同じサービスでもインスタンスごとに違う特色を持つ」ことになります。
例えば「スポーツを語る場にしたい!」と思いインスタンスを立ち上げれば、そこには「スポーツが好き」なユーザーが集まってくるでしょう。
他にも「ブロガー」「起業家」「社畜」「都道府県」など、テーマや指向はいくらでもあり、様々な方向性のインスタンスが考えられます。
既に日本人ユーザー向けのMastodonインスタンスが大量に立てられており、ユーザーは好きなインスタンスを選んで参加できます。 qiita.com
Mastodonの3つのタイムライン
ここまで読んで「自分が登録したインスタンスのユーザーしかつぶやきが見れないの?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
他のインスタンスのユーザーをフォローすることで”外の世界”のつぶやきも見ることができます。
このためMastodonのタイムラインは『ホーム』『ローカルタイムライン』『連合タイムライン』の3つに分けられます。
ホーム
『ホーム』と呼ばれるタイムラインはTwitterのタイムラインと同じです。自分がフォローしたユーザーおよびそのユーザーがブースト(Twitterでいうところのリツイート)したつぶやきが表示されます。
ここには外のインスタンスのユーザーも含まれます。
ローカルタイムライン
『ローカルタイムライン』には自分が参加するインスタンスの全ユーザーのつぶやきが表示されます。フォローしているかは関係ありません。
そのため参加するインスタンスの方向性や目的が明確なほど、インスタンスの特徴を示すつぶやきで埋められます。
連合タイムライン
『連合タイムライン』は以下の条件に当てはまるつぶやきが表示されます。
連合タイムラインは「インスタンスとインスタンスの繋がり」です。異なるインスタンスのユーザーをフォローすることでインスタンスが繋がり、見える世界が広がっていきます。
インスタンスとは国である
インスタンスとは言ってみれば、”ある方向性を持った一つの国”です。
国が違うからこそ、そこに繋がりが生まれます。(連合タイムライン)
インスタンスのブロック
そしてその逆も然り。国の方向性が違えば”国交の断絶”も起こります。
インスタンスの管理者は自分のインスタンス上につぶやきを表示させたくないインスタンス(ドメイン)をブロックすることができるのです。
その分かりやすい例がPixiv社が運営するインスタンス『Pawoo』です。
pawoo.net
登録ユーザーは10万人を超え世界最大のインスタンスとなっていますが、ここには当然のように「Pixivユーザー」が多く集まります。
Pixivユーザー層の特性上、Pwooには大量の卑猥な絵やワードが投稿されています。
すると「卑猥なつぶやきで連合タイムラインを汚染したくない!」とか「Pawooの投稿が多すぎてうちのサーバー負荷が酷い!」とか「我が国の法律ではロリ絵で捕まっちゃう」とか、様々な理由でPawooをブロックするインスタンス管理者が相次ぐ事態となりました。
これはPixivが悪いとかではなく「インスタンス管理者の考え方次第で外との繋がり方が変わる」ということです。まさに小さな国そのもの。
自分が参加するインスタンスでテーマや方向性が示されている場合はきちんと確認し、”自分が住みよい国”なのかどうかを見極めましょう。
管理者の信頼性
「インスタンスの管理者が信頼できる人か」というのも大切なポイントです。
インスタンスにアカウントを登録するということは、メール/パスワード、ダイレクトメッセージなどの機微な情報も全てインスタンス管理者の手中にあるということです。
世の中にはたくさん悪いヤツがいます。判断が難しいところではありますが、まともな人が運営するインスタンスであることを確認しましょう。
誰でも作れるけど誰でも作れるわけじゃない
Mastodonのインスタンスは「誰でも作れる」と言いましたが、”誰でも”というのは少し誇張があります。
インスタンスを立ち上げるには『Github』というサービスで公開されている、Mastodonのプログラムを自分のサーバーにダウンロードして稼働させます。 github.com
公式のマニュアルやたくさんの解説記事があり作業手順に関する情報は豊富ですが、実際に作って運用するためには最低限のネットワーク知識、サーバー(Linux)のオペレーション、Mastodonに使われる要素技術の理解が必要です。
文字通りの「知識ゼロ」から初めるのであれば、まずは周辺知識・技術を身に付けてからチャレンジしましょう。
あなたもトゥートしよう!
ということで新時代のSNS『Mastodon』を紹介しました。
私は大学生という多感な時期にmixiにハマり、mixiの衰退と共にFacebookやTwitterにワクワクし、位置情報という新たな趣向を持ったFourSquareに衝撃を受けてきました。
そして今回のMastodon。ネット上での盛り上がりや「分散型」「インスタンス」という”自由なインターネット”を感じさせるアイデア。ワクワクせずにはいられません。
Mastodonがこれから流行るか、廃れるかは分かりません。
ですがが、ここから新しい何かが生まれる可能性もゼロではありません。早速インスタンスを探して参加してみましょう。
何も感じなければそれまでですし、もしかすると新しいインターネットに出会えるかもしれません。