未完の名作『銀と金』のドラマが予想外に面白かった

こんにちは。

Amazonプライム ビデオで配信されているドラマ『銀と金』(全13話)を観ました。

www.tv-tokyo.co.jp


原作はあの『賭博黙示録カイジ』『アカギー闇に降り立った天才』『最強伝説 黒澤』で知られる漫画家、福本伸行

1992年から1996年に月刊『アクションピザッツ』(双葉社)という漫画雑誌で連載されていました。


この『銀と金』がなぜ”未完”なのかと言えば、上記の漫画雑誌で連載が打ち切られてしまったからです。Wikipediaによれば表向きは”休載”のようですが、事実上の打ち切りのようです。このため伏線は未回収だし”最終決戦”とも呼ぶべき、「弟子が師匠を超える?超えない?」回が無いままになっています。

とまぁ、そんな予備知識は一切なく「かろうじて存在だけは知っている」レベルでドラマを観始めました。
※以下、ネタバレが入ります

ドラマ『銀と金』の感想

正直に言って福本作品の実写化と言えば劇場版『カイジ 人生逆転ゲーム』『カイジ2〜人生奪回ゲーム〜』がどうしても思い起こされ、あまり期待していませんでした。

が、結論からするとめちゃおもしろい!!

悪のカリスマ平井銀二(リリー・フランキー)とダメ男の森田鉄男(池松壮亮)のキャラ立ち

まずは公式ホームページを飾る写真。どうしたって目が行くのは平井銀二を演じるリリー・フランキーさんですね。悪そ〜で魅力的な顔面です。原作を読んでいないので、どんな演技が正解なのかは分かりませんが、ドラマ初見の私からすると完璧でした。

喋り方とか喋るテンションとか、普段テレビで見かけるリリー・フランキーさんと変わらない気がしますけどね。だけど、めっちゃ悪そう。てか悪い。でも悪いだけではなく、その雰囲気や喋り方、仕草のひとつひとつがカッコいい。何がカッコいいのかは分からないけど、カッコいい。カリスマですよ。


でもこの平井銀二、主役じゃないんですね。主役は写真向かって左、池松壮亮さん演じる森田鉄雄です。

この森田がどうしようもないダメ男で、いい年してフリーター。ギャンブルは負け続け、バイトは無断欠勤、ファミレスで騒ぐ学生達の食事をこっそりぐちゃぐちゃにしていく根暗さ。

そんな彼が競馬でスッカラカンになり、クズ馬券が札束に見え始め「いよいよ末期」となったところで、平井銀二に出会うところから物語が始まります。


このダメ男、森田を主人公に立てることで「森田が銀二を目指して詐欺師としてどんどん成長していく」というのが話の推進力になります。

これ銀二が主人公だったら何の緊張感もなく敵をボコボコにしちゃうから、話として成り立ちません。その”作中最強”と容易に想像できる銀二を森田の側に置き、「最終的には銀さんと一騎打ち!」という未来が明確に読者に提示されているため、物語を追いやすく話に入りやすい。

ネタバレですが、この「森田VS銀二」が描かれないまま休載に入ってたため未完の名作です。当然ドラマでもその手前で終わってしまいます。

ギャンブルがとにかく面白い

とまぁ、この辺のキャラ設定とか全体のお話の流れとか散々書いてきましたが、これらは”おまけ”ですね。

この作品を名作たらしめるものは説明するまでもなく、ひとつひとつの”ギャンブル”の面白さです。

それもこれも賭け金、ルールともに常軌を逸した勝負ばかり。

自前の札束で橋を渡り本物の絵画を見分ける

金の橋
Amazonビデオ 『銀と金』第6話より

絵画までの距離1cmにつき100万円、1mなら1億円で橋を作る。落ちたら全額没収。

天井なしの賭け金で数億円までベットするポーカー

賭け値上限なしのポーカー
Amazonビデオ 『銀と金』第9話より

先にレイズ(賭け金アップ)できなくなった方が負け。金さえあれば強い役作る必要なし。

1ツモ100万円取られる麻雀

1ツモ100万円取られる麻雀
Amazonビデオ 『銀と金』第10話より

貯まったツモ代は勝った人が総取り。ちなみに親はツモ代を好きなだけ倍々に増やせる。最終的には役満直撃6,000億円とかいうわけわからない数字が出てきます。


そのひとつひとつがよく考えられた設定、展開で「さすが、さすがだ!福本先生!!」と舌を巻きます。

特にポーカー編は「どっちが多く金を賭けられるか」というのが勝負の鍵だったはずが、最終的にはポーカーの役そのもので決着するという展開。何重にも罠を仕掛けてひとつひとつを効果的に炸裂させていく森田に痺れました。

完璧なわけじゃない

え?最初の「仕手戦」はどうしたって?

なんかあの辺はですね、強かな交渉を魅せるという目的があるっぽいのは分かるんですが、それにしても「その情報どっから持ってきたんだよ」と言うくらいに銀二たち一味の情報網が広すぎてちょっと白けてしまいました。


それとドラマだと、銀二と別れた後に森田が理由もハッキリしないまま突然変異してメチャクチャな切れ者になっているのですが、勝負が面白ければオールオッケー!!

”あの映画”よりは全然良い!

ということで、原作が未完であるためドラマの終わりも尻切れトンボ感が強いですが、劇場版『カイジ』よりは全然違和感なく、大変楽しめました。

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