松本人志『ドキュメンタル』が抱える今後の課題

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ダウンタウン松本人志が企画・監修したお笑いサバイバル『ドキュメンタル』


Amazonビデオオリジナル作品ということもあり、ここ最近ネット界隈で話題に挙がっていますね。プライム会員は無料視聴できるため私も多分に漏れずシーズン1全4話を観終えました。

観終わっての率直な感想としては「賛否が分かれそう」です。


現在地上波で放送しているものには全く当てはまらない、かなり挑戦的な企画であるため、意見は分かれて当然でしょう。テレビで観ているような笑いを求める人は「なんじゃこりゃ」と思うだろうし、テレビのゆるい笑いに飽き飽きした人はコンセプトも含めて「おもしろい!」と感じるでしょう。


私はどちらかといえば後者に近いのですが、「このコンセプトでやっていく中で、これはどうなの?」と感じる部分もあったので、その点をまとめてみようと思います。

ドキュメンタルとは

まずは改めて『ドキュメンタル』という作品が何なのか、ご紹介します。


ドキュメンタルとは、

1000万円を賭けたお笑いサバイバル

です。


参加者10人のお笑い芸人は100万円を支払いドキュメンタルへ参加します。

ゲームが開始すると彼らは密室で6時間共に過ごします。
ドキュメンタルで10人の芸人たちが過ごす密室
HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル より


6時間の間に彼らは”何をしても自由”です。ただ一つやってはいけないこと、それが”笑うこと”なのです。

笑ってしまった者は100万円を失ったまま退場し、二度と戻ることはありません。最後まで笑わずに生き残った者だけが総額1000万円を総取りできるのです。

賞金の1000万円
HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル より


自分は笑わずしてその他全員を笑わせる

これがドキュメンタルです。

ドキュメンタルの今後の課題

それでは私がドキュメンタルのシーズン1を観終わって感じた「これはどうなの?」という部分について述べていきます。

展開が松本人志に委ねられてる感

ドキュメンタルのルールはシンプル、”笑うか笑わせるか”。

この”笑う”という判定が、ほぼ松本人志に委ねられています。参加者の表情は複数台のカメラで撮影し、松本人志以外にも複数人で監視しているのかもしれませんが、最終的なジャッジは彼が行います。

密室を監視する松本人志と複数のモニター
HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル より


ジャッジする人間は間違い無いく必要だとは思います。そうでなければ、高性能マシンを導入して全員の表情筋をチェックするとかになっちゃいますからね。それはそれで面白いかもしれないけれど、熱が感じられない作品になってしまうでしょう。


でもね、今回のように全て松本人志がジャッジしていくと「その後の展開がおもしろくなるか・ならないか、誰を残すとおもしろいか」ということを考慮した「作られたエンターテイメント」感が強くなってしまうのではないか?と感じるんです。


松本人志も1話の冒頭で「”ガキ使の笑ってはいけない”のような作られた・計算されたエンターテイメントではなく、野生むき出しのリアルな笑いを見たい」と言っていました。当然”笑ってはいけない”レベルの計算・練り込みなんて無いけれど、それでもジャッジするのが”人”である以上、作り手側の意志を感じてしまいます。

これは次の問題点にもつながってきます。

カード制による緊迫感の欠如

これね。このルールは突然出てきたので、拍子抜けしてしまいました。

ドキュメンタルの基本ルールは何度も言うように「笑ったら退場」です。が、番組見ると分かるんですけど芸人のみなさん、結構ガンガン笑っちゃう。そこで「実はこんなルールありました」というのがこの『カード制』。

イエローカードを出す松本人志
HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル より


というように、笑った芸人に猶予を与えるんです。


このカード制が及ぼす効果は、以下の2点だと考えます。

  • 番組の尺をもたせる
  • 「もう後がない!」的な個人にスポットライトを当てた演出をする

ですがこれ、みなさん「サバイバルと言えるのか?」と思いませんか。


「2回までは大丈夫」というのは、明らかに緊迫感を削ぐ要因となります。このルールを知らない序盤は口元がニヤニヤしている芸人を見て「おい!こいつヤバイってwww」と思っていましたが、このルールが登場した後はちょっとニヤニヤしてるくらいじゃ何とも思いません。

カードを貰った芸人は緊迫感を持つのかもしれませんが、逆に言えばカードが溜まるまで視聴者は緊迫感も無くただ戦況を見守るのです。


ただしこのルールは、それこそ人によって好みが分かれると思います。また窮地に追い詰められた芸人が、それまでの守り姿勢から攻めの姿勢に転じるなど、展開に変化を与える要素にもなるでしょう。

さらに言うと”ちょっとクスッとしただけで一発退場”としてしまっては、「あまりにも淡白すぎて番組がつまらない」という番組のデキ自体に大きな影響を及ぼすでしょう。


ですから、このルールについて一概に「ダメ!」とは言えないのが正直なところです。

決着が着かない感

シーズン1は結論からすると「6時間経過の時点で3人が生き残ったため勝敗付かず」で終わってしまいます。


終盤を観ていて感じたのは「残った芸人たちは、ガチで笑う気がない」ということです。

そりゃそうです。目の前に1000万円が見えてきているんです。こんなところで朽ち果てたくないと思うのが人間の性でしょう。

だからなのか、残り4人から3人に減るまではシーズン1を通して最大の山場・裸の殴り合いでメチャメチャ見応えあるんですが、残り3人になってからは「殴り合っているように見えるが、ガッチリとガード固めてる」感がスゴイ。

さらにここで前述のカード制が効いてきて、「こいつがここで笑ってもまだ2回目なんだよなぁ〜」と”負けることがない芸人”が分かってしまう。終盤にも関わらず視聴者は緊迫感を持てず、ダラダラっとタイムアップしてしまった印象です。


でも、それでこそリアル。「金欲しい」と真剣に思うからこそお笑いサバイバルが成立するわけです。この辺も難しいところだなぁと感じました。

まとめ

個人的に感じた課題を挙げましたが、いずれも「必ず解決しなければならない」とは思いません。


コンセプト自体が非常に挑戦的な内容だし、これらの課題をムリに解決した結果、地上波の番組と変わらないものになってしまえばそれこそ意味がありません。

さらにサバイバルの展開は参加するメンツにも大きく左右されるでしょう。シーズン1の戦況を観ているだけでも「攻めるやつ」「守るやつ」「狙われるやつ」「めちゃくちゃに乱すやつ」と芸人によって取る行動は様々です。


だからルールなんか変えなくても芸人たちのサバイバル力、展開力次第でどうにでもなるかもしれない。

次の参加メンツを楽しみにしつつ、シーズン2に期待したいと思います。

(おまけ)シーズン1のMVPとMIP

おまけとして、シーズン1を観終えての個人的なMVP=最も活躍した芸人、MIP=最も印象に残った芸人を選出します!!

MVP:マテンロウ アントニー

マテンロウ アントニー
HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル より


いやー、攻めてました。一番若く、参加費の100万円を借りるほどハングリー精神が溢れているだけに、あらゆる場面で積極的に攻めてきました。おもしろいかどうかは別として、その姿勢は褒めたいところ。シーズン1を盛り上げた立役者であることは間違いありません。

MIP:FUJIWARA 藤本

FUJIWARA 藤本
HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル より


「100万ぐらいなら嫁が稼いでくるし」の発言どおり、賞金ではなくその場を楽しみたいというゆるーい態度が目立ちました。が、場が落ち着きそうになると誰かに絡み混乱させる。自分から仕掛けることはないが、誰かに仕掛けさせる”着火剤”として存在感を見せました。

でも彼が優勝していたら「棚ぼたじゃねーか」という不満が爆発したでしょう(笑)



最後になりますが、『ドキュメンタルシーズン2』(仮)が始まる前にシーズン1を未だ観ていない方、Amazonプライム・ビデオにきっちり加入しておきましょう。(小声)