こんにちは。
みなさん格安SIM使っていますか?我が家は私がOCNモバイルONE、妻がIIJ mioを使っていて、
「同じ格安SIMにまとめた方がお得なのでは?」
と考えて色々と調べていました。
自分OCNモバイルONE、妻IIJ mioで、OCNに統一して容量シェアしたいのに、
— くおっと (@quo1987) 2019年10月7日
OCN「転出元で名義を同じにしてMNPしないと容量シェアはできません!」
IIJ「IIJ mioで名義変更はできません!」
でデッドロックしてる。
格安SIMを使っていて気になるのは料金と通信速度です。
と謳う比較サイトの数々。その数字は圧倒的で他の格安SIMが数Mbpsに対してこの2つは数十Mbps。
じゃあここにしようかな……
Y!mobileとUQモバイル、この2つのサービスは成り立ちからして他の格安SIMと一線を画しており、他の格安SIMと同列に比べられる存在ではありません。
それにも関わらずあたかも格安SIMかのように振る舞い紹介されている現状を注意喚起すべく、Y!mobileとUQモバイルが他の格安SIMと違う点についてまとめてみます。
そもそもキャリアと格安SIMは何が違う?
そもそもdocomo、au、softbankの3大キャリアと格安SIMの違いってなんでしょう。なぜキャリアは料金が高くて通信速度が速く、格安SIMは料金が安くて通信速度が遅いのでしょう。
それは通信網を提供する側と借りる側の違いです。
docomo、au、softbankのキャリアは自分たちで基地局を建てて自分たちで通信網を用意しています。
それに対して格安SIMと呼ばれる会社は、このdocomo、au、softbankが用意した通信網を借りて運営しています。(同じ格安SIM会社でもD系(docomo)、A系(au)、S系(softbank)とプランが分かれるのはこのためです。)
キャリアは基地局の整備や維持管理までの責任を担うため通信料金が高く、格安SIMは単にそれを借りる契約をすればいいだけなので料金は安くなります。
ではなぜ同じ通信網を使っているのに、キャリアと格安SIMでは通信速度が違うのでしょうか。
それは使える通信網の”幅”が異なるからです。(正確には”帯域”と言います)
通信網はよく高速道路に例えられます。通信網が高速道路だとすれば、その上を飛び交うデータ(電波)は高速道路を走る車です。
電波は電気であり、電気の進むスピードは常に一定。つまり高速道路の上を時速100kmで車が走っています。
もし同じ時速100kmの車100台が一斉に走り出した時、2車線の高速道路と4車線の高速道路なら、4車線の道路の方がスムーズに車が走れます。2車線の道路では前の車が走っていって、道路が空くのを待たなければなりません。
通信網で言えば2車線が格安SIM、4車線がキャリアとなりキャリアの方がより大きな幅の通信網を使えるため(なにせ自分たちで用意した道路なので)通信速度は速くなります。
極端な話、格安SIMでも世界中で利用者があなた一人であればキャリアと同じ(あるいはそれ以上)の通信速度が出ますが、もちろんそんなわけはなく、狭い通信網を世界中の人と一緒に使っています。
格安SIMでもたくさん通信網を借りれば速度アップが見込めるのでしょうが、そうなればキャリアにたくさんのお金を払う必要があり売りである低料金に影響が出ます。
このように通信網を提供する側と借りる側、という大きな違いがあるためキャリアと格安SIMではセールスポイントが大きく異なってくるのです。
Y!mobile、UQモバイと格安SIMの違い
ではY!mobileとUQモバイルは、何が他の格安SIMと違うのでしょうか。
それはY!mobileはsoftbankが運営するサービスであり、UQモバイルを運営するUQコミュニケーションズはauを運営するKDDI100%出資の子会社であるという点です。
UQコミュニケーションズはKDDIと別会社であるため一応はKDDIから通信網を借りる(購入する)という形が取られているのでしょうが、何かしらの優遇を受けているであろうことは容易に想像が付きます。
Y!mobileに至ってはsoftbank直営のため、通信網を借りるも何もsoftbankが自由に通信網を割り当てられます。
このようにUQモバイル、そしてY!mobileは会社・サービスの立ち位置が他の格安SIMと全く異なり、いわばau、softbankの廉価版=サブブランドとして低料金を求めるユーザーの受け皿となるべく戦略が立てられています。
通信速度の比較自体には意味がない
このようにキャリアから見た場合の立ち位置が大きく異なるため、UQモバイル・Y!mobileとその他の格安SIMの速度比較には意味がありません。
冒頭に述べた、比較サイトでよく見られる
(他の格安SIMに比べて)「UQモバイル速い!」「Y!mobile速い!」
は、
と言っているようなものです。
当然料金も違う
「キャリアは設備の維持があるから料金が高い」「格安SIMは通信網を借りるだけなので安い」
と言いました。つまり通信速度と料金は比例します。これはUQモバイル、Y!mobileも例外ではありません。
こちらは格安SIMと呼ばれる会社の2019年10月6日時点の3GB/月プランの料金を比較した表です。
ご覧のとおり料金の高さではUQモバイルとY!mobileが2トップで、特にY!mobileの料金は群を抜いて高額です。
……っていうかUQモバイル安いですね。いや、OCNが高いのか?*1
と、話が脱線しましたがY!mobileは高いことに加えて料金プランが分かりづらい。様々な条件をつけてあたかもめちゃくちゃ安いかのように謳っています。
Y!mobileより
実際にこの料金で使えるパターンがある、ということで嘘ではないでしょうが、この料金を全面に出して「格安SIMです!」とするのは、いかがなものでしょうか。
同じ土俵で比べるべきではない
(UQモバイルが思いのほか安くて趣旨がブレる寸前ですが)
Y!mobileの料金が高いからと言ってそれがダメだと言うつもりはありません。なぜならこの料金価格は他の格安SIMよりも数倍高速なサービスに反映されるからです。
ただし!「格安SIMの比較」という言葉だけで全てを一括にするのは大変問題があると感じます。
いくらY!mobileの通信速度の優位性を持ち上げたところで、それは「料金が高いからまあそうだよね」というだけで、サービスの立ち位置からしても「キャリア未満、格安SIM以上」であることは明らかで他の格安SIMと同列で比べるものではありません。
誰もがここで言及した程度のリテラシーを持っていれば良いのですが、残念ながらそうではありません。とすると、キャリアよりは随分と安いY!mobileの価格表を見て、これが格安SIMと思い込んで契約してしまう人も相当数いるのではないでしょうか。
企業としては商品を売りたいがために仕方ない部分もあるかもしれませんが、ブログ等で紹介する側はぜひ、そのへんのところをきっちり説明していただきたいものです。
*1:一応フォローしておくと、我が家の場合はプロバイダとセット割引が適用されて220円割引、実質1,760円で使っています。