こんにちは。
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ゴールデングローブ賞で7部門すべてを獲得し、英国アカデミー賞では11部門でノミネート、6部門を受賞。アカデミー賞では史上最多14ノミネートを受け、監督賞、主演女優賞、撮影賞、作曲賞 、歌曲賞、美術賞の6部門を受賞した物凄い映画、
ということで、すごく今さらですが映画『ラ・ラ・ランド』を見ました。
『ラ・ラ・ランド』あらすじ
ロサンゼルス。それは夢を追う全ての人を受け入れる街。
ミアもそんな夢を追う一人。女優を目指す彼女は積極的にオーディションを受けるもなかなか結果が出ない。ハリウッドの撮影所にあるカフェでバイトをし、訪れる有名女優に憧れてばかりの日々。
その日も渋滞に巻き込まれた高速道路の車中で台詞を覚えていたミアは、後続車の男にクラクションで煽られ悪態をつく。
数日後、ミアは”人脈”作りのためにルームメイトと共にパーティーに参加するも、車がレッカーされてしまい徒歩で帰るハメになる。
その途中、心地よいピアノが聴こえてくるジャズバーに導かれるように入っていくミア。その音色の主はあの日高速道路でミアを煽った男・セブだった……
キャスト・スタッフ
出演
- ミア:エマ・ストーン
- セブ(セバスチャン):ライアン・ゴズリング
- ビル:J・K・シモンズ
スタッフ
- 監督・脚本:デイミアン・チャゼル
- 製作総指揮:マイケル・ビューグル
- 音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
監督は映画『セッション』で一躍有名になったデイミアン・チャゼル。
『ラ・ラ・ランド』公開時はなんと若干31歳(当時)で映画監督2作目。て、天才や……
『ラ・ラ・ランド』感想
テンションMAXの高速道路ミュージカル
『ラ・ラ・ランド』は今の時代で売るのは難しいと言われるミュージカル映画であることも話題を呼びました。
そのミュージカル感を見せつけるべく、開始直後にロサンゼルスの高速道路を舞台にしたミュージカルが繰り広げられます。
これが圧巻。
渋滞でクラクションが鳴り響く高速道路。車からはラジオや音楽が聴こえてくる。そんな中、一人の女声が歌い出す。
と次の瞬間、彼女は車を降りて踊りだした。
するとそれに続いて次から次へと人が車を降りて歌い、踊る!
どんどんと人は増えていき、車の隙間を縫うかのようにみんなで踊りだす。
スケボーに乗る人、車の屋根でフラフープ、ラテンのリズムからヒップホップ、バク宙までなんでもあり。
途中でトラックからリズム隊が現れるのもテンション上がります。
地上だけではなく上空からのカメラワークも躍動感があって素晴らしい。
最後に全員が車の屋根でポーズして車に戻る。ドアを閉めるバンッ!という音に合わせてタイトルドーン!!!
めっちゃ楽しい!!
この冒頭5分のミュージカルが本当に楽しい!これを見れただけでも満足です。
しかし冒頭5分が強すぎて、正直に言って本編は期待したものではありませんでした。
主役2人に共感できない
本編が期待値以下だった理由はいくつかありますが、特にミアとセブの主役2人の人間性に問題があり感情移入できないことが大きな要因でした。
普段の勤務態度に問題あり
ミアもセブも、
「ハリウッド女優になる!」
「自分のジャズバーを持つ!」
という大きな夢を持っているし、そのための行動もしています。それは素晴らしいし、劇中の2人のチャレンジがなかなか上手くいかず苦しむ様子は多くの人が共感する部分でもあるでしょう。
しかし日常生活、特に普段の勤務態度に目を向けるとこの2人がかなりの問題児。
ミアはハリウッドのスタジオ内にあるカフェで店員をしています。さらにオーディションを受けまくっているのですが、バイトの勤務時間を全く考えていません。
ミア「あ、これからオーディションだった!店長、すいませんけどもう帰ります!」
店長「いや、まだ交代前じゃん。困るんだけど……」
ミア「無理です!オーディション優先なんで!」
っておい!!!それは違うよね?
バイトの調整は事前にできるはず。夢を優先するのも分かるけど、働いている場所を考えれば店長やバイト仲間だって夢を持ちつつ働いているかもしれません。
それがミアは自分のことしか考えていないし、勤務態度も中途半端。最低限の守るべきルールってのがあるはずです。
さらにセブ。彼は当初売れないジャズピアニストでした。その原因はレストランの生演奏を依頼されてもお店の要望どおりに弾かないから。
「それは自分のプライド持ってやってるからいいんじゃない?」
と最初は私も思いました。しかしその甘い考えを覆す出来事が置きます。
それは、彼に同情した古い知り合いのレストランオーナーが、彼にクリスマスの時期にお店でのピアノの生演奏を依頼した時のこと。
いい雰囲気に仕上がったレストランでセブはクリスマスソングをめっちゃ明るい曲調で弾いたのです。
それはだめだよね?
自分のテクニックを活かすとか、もっと良くしてやるとか、そんな感じは一切ない。
さらには事前にオーナーに「リストの曲を弾け」と言われていたのにそれも無視する始末。
ただひたすらに「俺はこんなつまんねえ仕事をやってていい人間じゃないんだ!!」と言っているように見えます。
なによりセブを気にかけて仕事を依頼してくれたオーナーを裏切ったのです。
さらに物語の中盤でミアとセブは付き合い始めるのですがデート中に、
セブ「この店は商業ジャズを流すようになったクソだ!!」
という、セブが逆恨みしている店の看板をメタメタに叩きのめすという犯罪行為をしています。
このように客観的に見てもミアとセブの主人公2人に対しては、
「夢を追う前に見直すところがありすぎだろ」
という感想しか持てず、まったく感情移入できませんでした。
ドン引きの乗り換え
そんなこんなでジャズバーで再会したミアとセブ。
最初こそ険悪なムードで衝突気味でしたが、ミュージカルを通して(?)段々と惹かれ合っていきます。
しかし話が進む中で衝撃の事実が発覚。
なんとミア、彼氏持ちでした。しかもお金持っていそうな紳士です。夢を追いかけながらバイトはテキトーに取り組み、安定したお財布をキープしていました。(悪意あり)
いや、財布キープはいいんですよ。彼氏がいながら別の男性に惹かれるのも長い人生ではあるでしょう。
問題は今彼からセブへの乗り換え方です。
ミアとセブが映画を見に行く初デートをしたその日、ミアは今彼+彼の兄夫婦との食事会を予定していたのです。
しかもそれを思い出したのは当日に今彼が迎えに来たときです。
話を切り出せないまま食事に向かうミア。一人で映画館に入るセブ。
モヤモヤしたまま話もろくに聞かずに食事をするミア。
と、その時!レストランから流れてきたのはあの日ジャズバーから流れてきたセブの(勝手に弾いた)ピアノの曲。
それでハッと我を取り戻したミアはセブの待つ映画館へ走るのでした。
まず今彼と兄夫婦に大変に失礼ですよね。途中で抜けるくらいなら最初から行くなよ。この感じ、どこかであったような……
そうだ!オーディションのことしか考えて無くてバイトのシフトが終わってないのに途中で抜け出したあれだ!
とにかくこれがこいつの本性なんですね。
そしてもちろんセブにも失礼です。ドタキャンするにしても電話で連絡できたはずなのに何故かしない。
さらに思い出したきっかけはレストランのBGM。
「そうだ、あたし、あいつのピアノが好きだったんだ!!レストランのBGMで思い出した……!!」
そんな思い出し方、ある?
それでもミアは報われるべき人
とまあ、特にミアが問題だらけの人間でちっとも共感できない人なのですが、それでも彼女のハリウッド女優を目指す姿は本気なんです。
劇中で彼女はとにかく努力を続けます。
特にミアは終盤である大きなチャレンジをします。
これ、中途半端な気持ちではとてもできないような取り組みだと個人的には思います。
失敗を恐れず、自分ができる最大限のことをしようと考え続けている人にしかできない行動です。
ミアは人間性に問題があるものの、女優を目指し続けて半端じゃない努力をしています。だからこそ彼女は最終的に報われるべき人だとも思うのです。
その点から、『ラ・ラ・ランド』は夢を追うすべての人を応援する映画というのに、嘘偽りは無い気がします。
全てを持っていくラスト
『ラ・ラ・ランド』は冒頭のミュージカルが最高で、本編は全く感情移入できずにイマイチです。
普通ならこのままイマイチで終わってしまうところなのですが……
ラスト10分に見るもの全ての感情を震わす仕掛けが待っている。
誰もが一度は考えたことがある「あの日あの時あの場所で……」
ねえ、どっち!?これはどっち視点!?ねえってば!!!!
と、自我を失いかけます。
ちょっとこれ以上はネタバレなので言えませんが、とにかくこのラストがあるからこそ『ラ・ラ・ランド』が嫌いになりきれない。
『ラ・ラ・ランド』はあなたの期待に答えられるか!?
以上、『ラ・ラ・ランド』の感想でした。
正直言って主人公2人には辟易してしまう作品でした。
「これでアカデミー賞最有力?『ムーンライト』の爪の垢でも煎じて飲んでろ!」
と思いました。
それでもとにかく冒頭のミュージカルと、ラストに待っている見る者の感情を揺さぶる仕掛けが素晴らしい。
またミアやセブの夢を追う気持ちに偽りはなく、夢を追う人の心に響くストーリーだとも思います。
期待しすぎるとがっかりするかもしれません。
期待しなければ楽しめるかもしれません。
全力で夢を追う人には受け入れられるかもしれません。
夢を追ってうまくいかなかった人、夢を追うことすらできなかった人には受け入れられないかもしれません。
『ラ・ラ・ランド』は宣伝の印象以上に好き嫌いが別れる映画だと感じました。
それでもまずは見ないと始まらない。自分の目で『ラ・ラ・ランド』を確かめてください。
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